障害者施設で火災 3人死亡、宿直不在/神奈川・綾瀬
読売新聞(2008/6/2)
2日午前2時30分ごろ、神奈川県綾瀬市寺尾北、知的障害者のグループホーム「ハイムひまわり」から出火、木造2階建ての同ホーム315平方メートルを全焼、隣接する民家1棟も焼き、約5時間後に鎮火した。同ホームの焼け跡から入所者7人のうち、男女3人が遺体で見つかった。ほかに1人が重傷。
大和署によると、亡くなったのは、2階に入所していた磯崎昭さん(57)、角田和之さん(60)、松本幸子さん(69)とみられる。重傷の村田徴(とおる)さん(51)は肺にやけどを負った。火災当時、同ホームには7人全員がいたが、1階の2人と2階の1人は逃げて無事だった。1階食堂の天井と、真上の2階の部屋の床の燃え方が激しく、同署や綾瀬市消防本部では火が屋内から出たとみて出火原因を調べている。
運営する社会福祉法人聖音会などによると、「ハイムひまわり」は1994年8月に開所。計8部屋あり、51歳~69歳の軽度の知的障害者が入所していた。男性3人、女性4人で、綾瀬市や近隣市町の人という。入所者は、平日の日中に仕事や作業などで外出する以外は、同ホームで過ごしていた。普段は職員1人が1階の管理人室で夜間の宿直にあたるが、1日夜からは休暇をとって旅行中だったため、不在だった。同ホームには火災報知機やスプリンクラーは設置されていなかったという。
県によると、障害者向けのグループホームの人員配置は厚生労働省令で定めており、宿直はサービスで義務にはなっていない。
現場は相模鉄道本線かしわ台駅の南約300メートルにある住宅街。
◆スプリンクラー、来年から義務化
総務省消防庁では、長崎県大村市のグループホームで2006年1月に7人が死亡した火災を受け、小規模福祉施設にスプリンクラー設置などを義務づける消防法施行令を07年6月に改正した。ただ、施行は来年4月からで、経過期間を経て12年4月までに全面適用となる。
この改正で、スプリンクラー設置を義務付ける延べ床面積は「1000平方メートル以上」から「275平方メートル以上」に変更。火災報知機や消火器の設置義務も、施設の広さの条件が撤廃された。知的障害者施設も対象に含まれる。
防火設備・管理体制の再検討が必要
グループホームは、知的・精神障害のある人や認知症高齢者の地域の中の居住の場として急増しています。
今回火災事故が起きたグループホーム「ハイムひまわり」は、障害者自立支援法による障害福祉サービスで、就労または就労継続支援などの日中活動をしている知的障害者、精神障害者が、社会福祉法人などが借り上げたアパート等で、共同生活をしながら相談や食事の世話、生活支援を受けますサービスのことです。平成18年10月からグループホームは、共同生活援助になり、障害の度合いが比較的軽度の方(障害程度区分が「非該当」または「1」の人)が、利用することとされています。
厚生労働省によると、知的・精神障害者のグループホームは2008年1月現在、全国に2736事業所あり、茨城県では、41箇所351人分の定員があります。
2006年1月に発生した長崎県大村市のグループホームでの7人死亡の火災(認知症高齢者のグループホーム)を教訓として、小規模福祉施設にスプリンクラー設置などを義務づける消防法施行令が、07年6月に改正され、来年4月には施行されることになっています。経過期間を経て12年4月までに全面適用となります。この改正で、スプリンクラー設置を義務付ける延べ床面積は「1000平方メートル以上」から「275平方メートル以上」に強化されました。火災報知機や消火器の設置義務も、施設の広さの条件が撤廃されています。
また、職員体制の不備を指摘する声が多くあがっています。知的・精神障害者向けのグループホームでも夜勤者を配置を義務化すべきとの議論です。
介護保険における認知症高齢者のグループホームでは、1ユニットにつき1名の夜勤者が義務づけられています。
知的・精神障害者向けのグループホームは、大変厳しい経営環境におかれていますが、その支援体制の見直しが大きな課題となると思われます。