8月7日、党本部で全国県代表懇談会が開催され、当面する政治課題や政策課題について、太田昭宏党代表を中心に活発な意見交換や質疑応答が行われました。
その中で、新たに党政調会長に選任された山口那津男参議院議員より、6月11日に成立した改正地震防災対策特別措置法などに基づく学校耐震化推進の新制度と、実際の制度運用上の課題などについて説明がありました。
公明党の強い要望を受けて、先の国会では、公立小中学校や幼稚園の建物のうち、大きな地震で建物が倒壊する危険の高いIs値(構造耐震指標)0.3未満の建物の補強事業を行う際、国の補助率をこれまでの2分の1から3分の2にすることが決まりました。
さらに、地方財政措置として地方債の元利償還金について地方交付税措置が今年度予算から20%に拡充。これらにより実質的な自治体負担が31.25%から13.3%と、約5分の2に軽減されました。
学校耐震化の進まない自治体の多くが、財政難を理由に挙げています。約6割の学校耐震化率を大幅に上昇させる追い風になると期待されています。
また、改正法には私立学校にも地震防災上の配慮をすることが明記されました。具体的な手法は今後検討されることになりますが、例えば、私立学校が耐震補強事業融資を受ける日本私立学校振興・共済事業団の運用資金の補助や利子補給などが、現在検討されています。
実際の耐震改修にあたっては、学校という性格上、工事の時期は限られ、工期も長くは取れません。文部科学省は現在、各地に担当官を派遣し、自治体と意見交換し、必要があればアドバイスする体制を取っています。
また、耐震改修に関する意見交換では、千葉県の代表から資材高騰による実勢価格の変化で、入札が不調になる事例が報告されました。山口政調会長は、「現在、文科省では、実勢価格での補助になるよう運用が改善されている」と説明し、資材の高騰で耐震改修に遅れが出ないよう対応していきたいと答えました。
一方、法律上の特別措置期間は2010年度までしかないため3年間の時限措置になっており、茨城県のように耐震化が遅れている自治体では、最低でも10年間程度に期間の延長を求める声が出ています。この声に対して山口政調会長は、「文科省は5年をメドに考えたいとしています。しかし、今後の耐震化進捗状況次第ではさらなる延長も検討課題となる」と
しました。
公明党は、学校耐震化について、早くからプロジェクトチームや小委員会を設けるとともに、国会や地方議会の場でも積極的に取り組んできました。山口政調会長も06年2月、参院予算委員会で耐震診断の徹底と学校耐震化の推進を当時の北側一雄国交相(公明党)らに訴えたのをはじめ、一生懸命取り組んできました。06、07年度は補正も含め計2000億円近い予算が学校耐震化対策に計上されました。
これら公明党の取り組みもあり、02年に44.5%だった公立小中学校の耐震化率は今年(2008年)4月に62.3%まで上がりました。耐震診断の実施率も02年の30.5%から93.8%と飛躍的に上昇しています。
今後は予算の確保とともに、改正法では公立小中学校などの耐震診断の実施と結果の公表を市町村に義務付けるなどして、市町村や地域住民への情報の公開なども進めながら、学校施設の耐震改修を力強く進めていきます。
(写真は、水戸市立双葉台中学校)