10月3日、参議院で代表質問が行われ、公明党の浜四津敏子代表代行が、行政のムダゼロ実現を政府に強く迫りました。麻生太郎首相も国の出先機関の整理など行財政改革について「霞が関(官僚)の抵抗があろうとも私が決断する」と決意を述べました。
税金のムダ遣いが次々と白日の下にさらされています。道路特別会計によるマッサージチェアの購入や、「居酒屋タクシー」の温床となったタクシーチケットの多用などに対し、浜四津代表代行は「国民感覚からあまりにかけ離れた不適切な支出」と厳しく追及しました。タクシーチケットを試験的に廃止した国土交通省では、1カ月で約9000万円の節約ができました。公明党は全省庁でのチケット全廃を強く主張しています。
さらに、財政制度そのものの改革として、特別会計の徹底見直しを強調。浜四津代表代行が指摘した特別会計の多額の剰余金について麻生首相は、「剰余金は可能な限り活用する」と言明しました。
また、生活を守るための緊急総合対策について浜四津代表代行は、政府・与党がめざす「定額減税」に対するバラマキ批判を取り上げ、「家計の痛みが分からない人の批判」と一蹴。「減税効果が十分に及び、景気の呼び水になる規模」で実施するよう強く求めました。さらに年金の充実について、年金低所得者を対象に、基礎年金を月2万円程度加算する年金加算制度の創設を提案するとともに、受給資格を25年から10年程度に短縮し「掛け損」をなくすべきと強調しました。
公明党の>浜四津代表代行が10月3日午後、参議院本会議で行った麻生太郎首相の所信表明演説に対する代表質問(要旨)は次の通りです。
私は公明党を代表し、麻生総理の所信表明演説に対し、質問致します。
総理のご就任を心よりお祝い申し上げるとともに、引き続き生活者を守る政治を進めていただくことを念願致します。
さて、自民党と公明党が連立を組んで間もなく9年を迎えます。この間、公明党は現場第一主義、そして生活者の目線から、与党の一員として誠心誠意国政に取り組んでまいりました。
日本政治の海外研究者として第一人者である米国コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授は次のように言っております。「チェック・アンド・バランスの機能を派閥や野党が持たなくなった今、その機能を果たしているのは唯一公明党です。憲法の問題にしても、靖国の問題にしても、ある意味で公明党は自民党に対しチェック機能を果たしている」と、公明党を高く評価していただいています。
今の衆院の選挙制度のもとでは二大政党制が進むと言われておりますが、一方で国民の多様化する考えや、ニーズをわずか二つに集約することは困難です。
また政治を安定化するためにも第三党の働きが不可欠です。二大政党政治の本拠と言われた英国でも、第三党が確固たる存在感を示していますし、多くのヨーロッパの国が連立政権で国政を担っていることからもそれは明らかです。
わが国における第三党の意義、そして、与党の中でこれまで公明党が果たしてきた役割をどのように考えておられるのか総理に伺います。
【行政の信頼回復】
総理、新政権は国民の政治不信、行政不信を拭い去らない限り、国民の支持と信頼に支えられる確かな国政運営はできません。
まずは税金の使い方です。国民は国や行政に対し、まだまだ税金をムダ遣いしているのではないかという強い不満を持っています。「税金のムダ遣いをなくして、それを年金や医療、介護、教育などに使え!」というのが国民の率直な声です。
政府は、家計のやりくりをする主婦の感覚で、徹底して政治・行政のムダ削減に取り組まなければなりません。ムダ遣いをなくして、浮かした税金でよりよい政策を実現する。この当たり前の取り組みなくして国民の支持を得ることはできません。
徹底した行政のムダ削減にどう取り組まれるのか、総理のご決意を伺った上で、以下、具体的な課題について質問致します。
【行政のムダゼロ】
第1に、公務員による不正の徹底的な防止です。中央官庁の職員がタクシー運転手から金品の接待を受けていた、いわゆる「居酒屋タクシー」が明らかになりました。冬柴元大臣の英断で、国交省は本年6月、タクシーチケットの全廃を試みたところ、1カ月で9000万円も税金が節約できました。また、公用車の見直しにより、月6000万円も節約できることになりました。しかし国民の目から見ると、長い間、こんなムダ遣いが放置され続けたことは言語道断です。今すぐ、全省庁のタクシーチケットを全廃すべきです。
第2に、特別会計の徹底した見直しです。これまでも行政改革推進法や特別会計法の制定などにより、特別会計の見直しを行ってまいりました。そうした中、道路特会でマッサージチェアやスポーツ用品を購入するなど、国民の感覚からあまりにもかけ離れた不適切な支出が行われていたことが発覚しました。今後、全ての特別会計について事業が本当に必要かどうか、購入する必要があるかどうか、国民の目線で一つ一つ徹底的に精査し、不要な事業やモノの購入は直ちに廃止すべきです。
また、特別会計の積立金もあまりに多額になっていないでしょうか。削減し有効に使うべきです。剰余金も徹底的にチェックし、必要以上の剰余金は国民のために積極的に活用すべきです。
第3に、国の出先機関の抜本的な見直しを求めます。道路特定財源をめぐる議論の中で、国の出先機関でのムダ遣いや官製談合事件など、問題が次々と発覚しました。現在、出先機関には21万人もの国家公務員が勤務しておりますが、業務が地方と重複し、ムダな事業がたくさんあります。
出先機関が行っている国の事務や権限を、早急に、思い切って地方自治体に移譲して、出先機関の廃止・整理を強力に断行し、公務員数を削減して、効率的でスリムな行政にすべきです。
第4に、後を絶たない公務員の不正経理防止のための新たな法律の制定や、公務員の不正に対する責任追及の厳格化と明確化、さらに会計検査院の機能を強化するべきと考えます。
さらに、これだけ、国の財政が厳しいのですから、ムダゼロに取り組む私たち国会議員や幹部公務員から身をただすべきです。まずは国会議員や幹部公務員の給与10%カットを提案します。
以上、5点について総理のご所見をお聞きするとともに、行政のムダゼロへの具体的取り組みについて、決意を伺いたいと思います。
【公務員の姿勢】
税金の使い方と併せて、断じて改めるべきは公務員の姿勢、在り方です。
社会保険庁職員による年金の改ざんや、「事故米」の不正流通を長年見逃してきた農水省のずさんな対応など、公務員の怠慢は数え上げたらきりがありません。民間企業では到底考えられないことばかりです。「公務員は偉そうに威張るばかりで、仕事をしない。平気で不正をする。その上、不正がわかっても、うやむやに葬り去る」と、国民の怒り、不信は今や頂点に達しています。
どんなに行政改革を進めて、制度や仕組みを変えても、一人一人の公務員が変わらなければ、行政改革の実をあげることはできません。公務員は誠実に、真面目に国民に奉仕する、との原点に立ち返るとともに、それに反する行為に対しては厳正に対処すべきです。公務員に対する国民の不信を信頼に変えるために、総理は具体的にどのように取り組まれるのか、伺います。
【定額減税、臨時福祉特別特別給付金】
国民が今、抱いている最も大きな不安の一つは、この先、暮らしはどうなってしまうのかということです。
私は度々地方へ出掛け、そこで女性たちと懇談する機会がよくあります。その中で、最近、最も多く耳にする声は、「ガソリンの値段が上がった。その上、毎日食べる食パンや卵、牛乳など、あらゆるモノが軒並み値上がりしている。年金の額は変わらないのに物価が上がって、これ以上どこを節約すればいいのか分からない」など、物価高を中心とする暮らしの不安です。国民の生活は家庭の努力だけでは乗り切れない状況になっています。
家庭が元気にならないと、日本の景気も経済も回復するはずはありません。物価高に直撃された家計を守るため、公明党は「生活者」「庶民の目線」から、定額減税と年金生活の方々などへの物価上昇分の上乗せ支給を提案しました。定額減税は、所得の高い低いにかかわらず一定額を納税額から差し引いてお返しする減税策です。多くの国民に恩恵が行き渡り、景気後退が叫ばれる経済状況の中では、誠に時宜を得た施策であります。
先月29日、政府与党は公明党の提言を受け止め、(1)定額減税(2)減税の恩恵を受けられない年金生活者などを対象とする「臨時福祉特別給付金」を年度内に実施すること(3)中小企業支援││の3本柱を軸とする経済対策を決定致しました。
「バラマキ」「効果なし」などと定額減税を批判する声もありますが、それは家計の痛みがわからない人の批判であると私は思います。
家庭からのSOSに応えるために、より多くの家庭に減税の効果が十分に及び、景気の呼び水になる規模で実施されることを強く望みます。定額減税及び臨時福祉特別給付金の規模について、総理のお考えと決意を伺います。
【中小企業の貸付保証制度の拡充】
次に、中小・小規模企業に対する「保証・貸付制度の拡充」について伺います。
わが国経済はこれまで長期回復局面にあったものの、中小・小規模企業や、地方までは景気回復の恩恵が十分には行き渡らないまま、現在は後退局面を迎えています。特に原油や、原材料価格の高騰は、大企業より中小・小規模企業、都市より地方と、より弱い立場の企業を直撃しています。
公明党は昨年来、中小企業支援、年度末対策、資金繰り支援など時に応じたきめ細かい支援策を国に強く要請し、漁業や農業への支援策、高速道路の割引制度の拡充を実現してまいりました。
しかし今年に入り、ますますモノの価格が上がり、その結果、中小・小規模企業はさらに厳しい状況になっています。先般発表された企業倒産件数は5年ぶりの高水準となり、また中小・小規模企業向けの全国信用保証協会の融資保証も今年に入り急減し、「貸し渋り」との声も出ています。
これは、昨年の秋に導入された「責任共有制度」により、金融機関は融資が焦げ付いた時に負担を被ることになったため、融資に慎重になっていることが一因と指摘されています。
原油、原材料高に直撃され、その上、融資不足、資金不足に苦しむ中小・小規模企業を倒産の危機から救うためには、さらなる強力な支援が必要です。
先月末に決定した「緊急総合対策」に、公明党の強い主張で、緊急保証制度の創設や、信用保証協会が100%保証するセーフティネット保証の拡充など、9兆円規模の中小・小規模企業向け金融支援が盛り込まれました。
これら施策の速やかな実行を求めるとともに、貸し渋りの原因になっている責任共有制度の柔軟な対応や新たな資金ニーズに対応する融資制度の強化など、国・地方を挙げて中小企業への円滑な資金供給に万全を期すべきです。総理の考えを伺います。
【高齢者支援】
次に高齢者が安心して暮らせる社会の構築について伺います。
現在の日本社会の繁栄の基礎をつくってくださったのは間違いなく今の高齢者の皆さまです。このご苦労にお応えするために、公明党は長生きすることが「幸せ」と実感できる社会を構築したいと考えています。そのために年金、医療、介護、雇用などトータルな支援で高齢者が安心して暮らせる社会づくりを急ぐべきです。
(年金制度)
第1に取り組むべきは年金制度の充実です。
定年後の生活を支える柱は何といっても年金です。国民年金と、厚生年金、共済年金等の被用者年金の一元化を求める声もありますが、これらはその制度も、保険料負担の在り方も全く異なるため、今すぐに一元化することには、あまりに課題が多いと言わざるを得ません。
そこで、公明党は、まずは今、低年金で苦労されている高齢者を支援するために、年金低所得者を対象に、基礎年金を月2万円程度加算して月8万3000円、夫婦で16万6000円とする年金加算制度の創設を急ぐべきと考えています。さらに保険料の事後納付期間を延長して受け取れる年金の額を増やしたり、受給資格期間を現行の25年から10年程度に短縮して「掛け損」をなくすべきと考えています。総理のお考えを伺います。
(介護)
次に介護問題について2点質問致します。
1点目は、療養病床の再編についてです。政府は2012年3月末までに介護療養病床12万床を、ベッド数を減らすことなく、介護保健施設に転換するとしていますが、現状は遅々として進んでいません。患者さんからは「無理やり退院させられても行く所がない」との、不安の声が上がっています。政府は、入院中の患者さんにしわ寄せすることなく、医療から介護施設への転換をスムーズに進めるために、転換後の老健施設等への介護報酬を上げるなど、必要な措置を講じるべきです。
また、介護に従事する人の待遇改善と人材確保が急務です。介護に従事する方から「介護の仕事は本当にやりがいがある。一生続けたい。しかし今の給料のままでは結婚もできない。人並みの生活をするためには辞めるしかない」という声がたくさん届いています。介護は、きつい・給料が安い・結婚できないの「新3K」と言われています。介護に従事する人なくして介護制度の充実はあり得ません。公明党はかねてより「介護従事者の専門性を正当に評価し、生活できる給与を保障すべき」と主張してまいりました。
先の通常国会で介護職員の賃金水準の引き上げを目指す法律も成立致しました。明年4月の介護報酬改定においては、法律の趣旨を踏まえ、介護報酬を大幅に引き上げることが不可欠です。総理のご見解をお伺い致します。
(雇用)
次に高齢者の雇用について伺います。元気な高齢者が経験や技術を生かし、働き続けることは生活の基盤を安定させ、生きがいになるだけでなく、社会の活性化の大きな力になります。
現在、改正高年齢者雇用安定法に基づいて、65歳まで働き続けられる環境整備が進められています。しかし、定年の廃止や、定年の引き上げを行った企業はわずかです。多くの企業で継続雇用制度を導入しましたが、希望者全員を受け入れている企業は一部に過ぎません。つまり、定年後も働き続けたいと希望しても、辞めざるを得ない高齢者がまだ、たくさんいるということです。
このような実情を踏まえて、中小企業を含め高齢者等を積極的に雇用する企業への助成の拡充が必要です。また、相談体制を強化するとともに、NPOやコミュニティービジネス等の起業支援など多様な就労の選択肢を広げることも重要です。総理に伺います。
【子育て支援】
次に子育て支援についておたずねします。
公明党は、国の子育て支援の基本原則は、「子育ての基本的な負担は社会全体でしっかり支え、個々の負担を軽減し、過大な負担を求めない」ことと考えています。
しかし、現実には子どもが生まれてから大学を卒業するまでに必要な費用は、約2000万円にのぼると指摘されております。
(出産育児一時金の拡充)
こども未来財団の調査では、妊娠出産費用の平均は50万円を超えています。
一昨年、わが党の強い主張により出産育児一時金は35万円へ増額されましたが、まだ十分とは言えません。出産育児一時金を50万円に引き上げる大胆な決断が必要です。
(妊婦健診の完全無料化)
また、経済的理由などから妊婦健診を受けないまま出産する「飛び込み出産」が社会的問題になっています。母体や胎児の健康確保のために必要な健診は平均14回と言われています。誰もが安心して出産に臨めるよう、国が責任をもって妊婦健診の完全無料化を行うべきです。
「妊娠・出産の負担ゼロ」を目指して、総理の強いご決意をお聞かせください。
(児童手当の拡大)
子育て中の家庭の経済的負担を軽減するのが児童手当です。昭和46年の制度発足以来、公明党は一貫して拡充をリードし、特に連立政権参画から9年間で、5度も拡充を実現し、今では支給対象は小学校卒業まで、所得制限も大幅に緩和致しました。
次は、近い将来、児童手当の支給対象を中学3年生にまで広げることです。さらに、次の段階として、支給額を倍増して、子育ての経済的負担軽減を加速させることが必要と考えますが、総理のご見解をお伺い致します。
(幼稚園・保育所の負担軽減)
現在、政府では公明党の強い要望で、幼児教育の無償化について活発な議論がなされています。幼稚園や保育園にかかる月々の費用は、子育て家庭にとって大きな負担になっており、一日も早い実現を多くの家庭が期待しております。
幼児教育の無償化を一度に全部実現することは無理でも、まずは就学前の1年間からスタートし、そこから段階的に無償化を進めることも検討してはどうでしょうか。無償化に向けて先ず一歩を踏み出すことが必要と考えます。幼児教育の無償化へ向けた具体的取り組みについて、総理の見解を伺います。
(奨学金制度の充実)
また、公明党は奨学金の充実に取り組み、希望者ほぼ全員が受けられる奨学金になりました。今年度からは大学生等の貸与額の引き上げも実現しました。今後は、入学時にかかる経済的負担が最も重いことを踏まえ、入学一時金の増額や、入学時に貸与する奨学金の選択肢の拡大など、学生のニーズに柔軟に対応した経済的支援策をさらに進めるべきと考えます。総理のご見解を求めます。
【マザーズハローワークの倍増】
妊娠・出産を機に仕事を辞めた女性の多くが、再就職を希望しています。子育て中の女性の仕事探しをトータルに応援するマザーズハローワークは、再就職支援の中心拠点として実績をあげています。多くの女性が、より身近な場所で、安心して相談できるようマザーズハローワークを倍増する必要があると考えますが、総理のご見解を伺います。
【地域安全安心まちづくり推進法】
子どもが犠牲となる痛ましい事件が相次いでいます。防犯ボランティアの取り組みも進んでいますが、子育て家庭の多くが防犯や治安に大きな不安を感じています。警察官の増員を図るとともに、地域の防犯活動の支援を行う「地域安全安心まちづくり推進法」を早期に制定し、子どもの安心・安全に取り組むべきと考えますが、総理のご見解を伺います。
【地球温暖化対策】
家庭からの温暖化ガスの排出が増加の一途をたどっています。草の根レベルでの取り組みがあってこそ、社会の在り方も変わってきます。その意味から、家庭での省エネ努力が大切です。
そこで私は、今年度から環境省が家庭部門からの削減の決め手としてモデル事業を開始したエコポイントに注目しています。これは、消費者が温暖化対策型の商品やサービスを購入した時に、エコポイントをもらえ、そのポイントがたまったら、新たな商品やサービスを購入したり、電子マネーなどにも交換できるというものです。家庭の省エネの取り組みが、自分に返ってくるという仕組みで、全国の家庭で「楽しみながらエコライフ」を進めることができます。
今後、エコポイント事業をどのように拡大していくのか、環境大臣に伺います。
(太陽光発電システム世界一の復活)
温暖化対策の柱の一つが、水力、風力、太陽光などを利用した自然エネルギーの活用です。わが国は、かつて世界一の太陽光エネルギー発電量を誇っていましたが、国が後押しを止めたために、現在はトップの座を明け渡しています。
今後、太陽光発電の普及を大幅に拡大するために、学校や公共機関での導入を加速度的に進めるとともに、家庭での導入を進めるための支援策も実施すべきです。太陽光発電世界一奪還に向けて、どのように取り組まれるのか、環境大臣に伺います。
【クラスター弾禁止へ】
次にクラスター弾の禁止について伺います。公明党の強い働き掛けにより、本年5月30日、日本政府は「オスロ・プロセス」ダブリン会議で採択されたクラスター弾に関する条約に同意しました。条約案が参加111カ国の全会一致で採択されたことはクラスター弾禁止に向けて大きな弾みとなります。
しかし、グルジア紛争でクラスター弾が使用されたとの報道があり、条約制定に取り組んできたNGOの間に衝撃が走りました。
12月の調印式、そして条約の批准、発効とまだまだ大きな山があります。総理の強いリーダーシップで、クラスター弾禁止条約に日本が早期に署名、批准し、世界のクラスター弾廃絶に大きな役割を果たすことを強く期待しています。総理のご所見を伺いたいと思います。
【ヒロシマ・ナガサキ・プロセスを提案】
核廃絶に向けた取り組みについて伺います。わが国は、世界で唯一の被爆国として、二度と核の惨禍を繰り返さないとの強い決意で、非核三原則を堅持し、また核軍縮決議案を国連総会に提出し続けるなど、核兵器のない平和な世界実現のために行動してきました。しかし、今もなお世界には2万5000個以上の核弾頭があり、さらに、北朝鮮やイランの核開発が懸念されるなど、核廃絶の道は遠のいているとも言われています。
しかし、一方で世界平和の流れをつくる新たな潮流も生まれています。それは、世界のNGOとミドルパワーと呼ばれる国々が協力し、思いを同じくする多くの国に呼び掛けて、対人地雷禁止条約を作り、さらにクラスター弾禁止条約の道筋をつけたことです。
総理、次の課題は核廃絶に向けて確かな道筋をつくることです。そしてそれができるのは日本以外にはあり得ません。クラスター弾禁止条約に向けたオスロ・プロセスをノルウェー政府が全面的にサポートしたように、日本政府の後押しで、核兵器廃絶に向けての具体的ロードマップを「ヒロシマ・ナガサキ・プロセス」と名付け、その第一歩として「核兵器使用禁止条約」の実現に取り組むことを提案致します。
もちろん、禁止条約をつくっても、保有する国々がすぐに署名し、批准するとは考えられません。しかし、核を持たない国々が連帯してこの条約をつくりあげることは、核保有国に対し、核兵器の使用や威嚇を制限する大きな圧力になることは間違いありません。使用禁止条約ができれば、次は開発の禁止、そして保有核兵器の廃棄と、核廃絶に向けて段階的に進めていきます。
平和憲法をもつ唯一の被爆国日本が、世界の平和を構築するために広島、長崎の心を具体化する「ヒロシマ・ナガサキ・プロセス」を進める、これ以上の日本らしい平和構築の方法はないと考えます。総理のご所見を伺い、私の質問を終わります。