民主党の鳩山由紀夫代表の「故人献金」疑惑は益々、その深みを増しています。
自民、公明の与党PT(プロジェクトチーム)は、7月3日、「2002~04年の収支報告書にも個人献金の虚偽記載の疑いがある」と指摘しました。
偽装献金に使われたとされる鳩山代表個人の巨額資金。鳩山代表側は個人資産としての普通預金であり、秘書に引き出させ、資金管理団体の収入不足などに充てていたと説明しています。しかし、6月30日に公表された年間所得は2900万円弱です。そのため「本当に鳩山氏個人の金だけだったのか。出所を明かせない裏献金は入っていなかったか」(7月2日付朝日新聞)と説明を疑問視する声が上がっています。
また、偽装献金で毎年、鳩山氏個人の資金400万~700万円以上が資金管理団体「友愛政経懇談会」に流れたとしたならば、それは正に「寄付」となります。すでに鳩山代表は、毎年、友政懇に900万~10000万円を寄付しており、合計すると政治資金規正法(政規法)が定める、政治家が自らの資金管理団体にできる寄付の上限額である年1000万円を超過し、違反していたことになります。「上限額のオーバー分を小口に分けて分散させたのではないか」と上限逃れを指摘する声もあるのは当然です。
6月30日の政治資金収支報告書の修正では、故人献金(偽装献金)に当たる全て削除しましたが、その分は鳩山代表からの借入金として処理しましたが、全く説得力はありません。
一方、「友愛政経懇談会」は、5万円以下の個人献金で名前を出す必要がない「匿名献金」が非常に多いという特徴があります。「10年間の総額は3億4000万円」(7月1日付毎日新聞夕刊)に上り、他の国会議員と比べて突出しています。7月3日の衆院倫選特委でも、03年分の匿名献金7971万円が取り上げられ、「高くみて1人4万円を献金したとしても、2000人から集めた(計算になる)」として、匿名献金の内容に疑問の声が上がっています。
鳩山代表側は、6月30日の会見で匿名献金は一切公表しませんでした。この点について、「政規法で政治団体に保管が義務付けられている会計帳簿を見れば、匿名献金も含めすべての収支明細がチェックできるはずだ」などの指摘を受け、鳩山代表も一転、「必要であれば、当然報告する」(7月4日付読売新聞)と表明しています。
このほか、架空の献金者に対し「寄付控除」という税制上の優遇措置を受けさせていた可能性も指摘されており、これが事実であれば、所得税法違反に当たる重大問題です。今回、修正が行われた献金に関して、寄付金控除の有無を明確にする必要があります。
6月30日付で鳩山代表が修正した「友愛政経懇談会」の収支報告書の内容を精査しました。官報の記載により、平成19年、18年、17年の個人献金を抜き出し、今回、偽装献金を認めて訂正された献金を取消線で示しました。取り消された献金者の名前は、マスキングしてあります。同一献金者であっても、献金の一部が修正された方もありますが、その方は、そのまま実名を示しています。いかに、杜撰な報告書であったか、驚かされます。