民主党の八ッ場ダムの工事中止公約について、先のブログ「八ッ場ダム中止公約は“地方自治の原則に反する”」では、地元住民の意向と民主党のマニフェストに大きな齟齬があることを指摘しました。
このブログでは、別の角度から民主党の主張の矛盾を指摘しておきたいと思います。
民主党は「事業規模で4600億円のダム工事を中止する」と主張し、工事中止によって、さも4600億円の財源が捻出できるかのような主張をしています。しかし、現場を見れば一目瞭然、7割の事業費(3210億円)をすでに実施済み。実際に中止する工事はダムサイトの本体工事のみ、すなわち4600億円のうち、620億円分しかないのです。
その上、治水対策をどうするのか、民主党に問い詰めると「下流の堤防をかさ上げする」と答えますが、マニフェストには堤防工事の費用を全く積算していません。
この点、群馬県の試算によると、たとえば江戸川で堤防を改修するには5000世帯の方々が移転する必要があり、さらに江戸川に架かる橋の付け替えや、JRの線路改修など、もろもろ含めて620億円程度では到底賄えない「大規模公共工事」が首都圏において必要になります。
財源を捻出するどころか、さらなる税金投入が必要になることは明白です。
ダム事業に翻弄されてきた「吾妻郡」の地域住民は、下流都県の治水・利水のためと、涙をのんで愛する故郷を水の底に沈める覚悟をされ、決断されました。60年近くも悩まされたダムがいよいよ完成間近になって、ここにきて民主党のパフォーマンスのために中止されるとなると、地元地域は完全に崩壊し、再建不可能となると、危機感を強めています。
公共工事=悪玉論で都会の票を取るために、群馬の地元の声を黙殺し、さらに国政選挙の争点にしながら、八ツ場ダムの地元「群馬5区」では民主党の候補者すら立てず、議論することすらしない。
民主党は地方自治の破壊者と言っても過言ではありません。