八ッ場ダム中止 時代錯誤正す「象徴」に
毎日新聞社説(2009/9/23)
民主党の政権公約通り前原誠司国土交通相は、群馬県の八ッ場(やんば)ダムの建設中止を表明した。23日に建設予定地を訪ね、意見交換会を開く方針だ。計画から半世紀以上、住民を翻弄(ほんろう)し苦しめてきたことを謝罪するとともに、中止の理由について意を尽くして説き、不安を取り除くのは政治の責任である。そのうえで、時代にあわない大型公共事業への固執がどんな問題を招くかを広く知ってもらい、こうした時代錯誤を終わりにすることをはっきり示す「象徴」としてほしい。
治水と利水を兼ねた八ッ場ダム計画は、1947年の台風による利根川決壊で浮上した。吾妻川沿いの温泉街をはじめ340戸の水没が前提で、首都圏住民のための犠牲を強いられる地元に激しい反対運動が続いた。苦渋の末、地元が同意に傾いたのは90年代に入ってからだ。時間がかかったため事業費は当初の2倍以上の4600億円に膨らんだ。
この間、首都圏の水需要は減少傾向にあり、洪水対策としてのダムの有効性に疑問が示された。しかし、そもそもの目的が疑わしくなり、悪影響が指摘されながら完成した長良川河口堰(ぜき)、諫早湾干拓、岐阜県の徳山ダムを追うように、ダム湖をまたぐ高架道路、移転住民のための用地造成などが進み、ダム本体の着工を残すだけになった。まさに「いったん動き出したら止まらない」大型公共事業の典型である。こうした中で、公共事業の全面的な見直しを政権公約に掲げた民主党が政権を握った。八ッ場は最初の一歩である。
これに対して利水・治水のため建設費を負担してきた1都5県の知事は「何が何でも推進していただきたい」(大澤正明・群馬県知事)などと異論を唱えている。すでに約3200億円を投じており、計画通りならあと約1400億円で完成する。中止の場合は、自治体の負担金約2000億円の返還を迫られ、770億円の生活再建関連事業も必要になるだろう。ダム完成後の維持費(年間10億円弱)を差し引いても数百億円高くつく。単純に考えれば、このまま工事を進めた方が得である。
だが、八ッ場だけの損得を論じても意味はない。全国で計画・建設中の約140のダムをはじめ、多くの公共事業を洗い直し、そこに組み込まれた利権構造の解体に不可欠な社会的コストと考えるべきなのだ。「ダム完成を前提にしてきた生活を脅かす」という住民の不安に最大限応えるべく多額の補償も必要になるが、それも時代錯誤のツケと言える。高くつけばつくほど、二度と過ちは犯さないものである。

八ッ場ダムの経緯に関しては、国の責任そのものの歴史といえます。その中で翻弄された地元住民の心情を思うとき、「少なくても八ッ場は完成させるべきだ」と言わざるを得ません。
しかし、毎日新聞の社説の結論は「だが、八ッ場だけの損得を論じても意味はない。全国で計画・建設中の約140のダムをはじめ、多くの公共事業を洗い直し、そこに組み込まれた利権構造の解体に不可欠な社会的コストと考えるべきなのだ。『ダム完成を前提にしてきた生活を脅かす』という住民の不安に最大限応えるべく多額の補償も必要になるが、それも時代錯誤のツケと言える。高くつけばつくほど、二度と過ちは犯さないものである」というもの。毎日新聞はそこに住む住民の生活を何と考えているのでしょうか、カネによる補償で住民の57年間の戦いを贖えると考えているのでしょうか。
また、毎日新聞には中止の費用負担も国民の血税であるという視点が全く欠如しています。喩え1円でも、無駄になる支出を国が行うことを、マスコミが是認することは大きな問題です。
この件に関して、私は事情を知らないだけに、
賛成でも反対でもないのですが
1つだけ。
建設するか否かで、
ここまでの議論を呼んだのは、
諫早湾の埋め立て以来ではないかなと思います。
私が疎いだけかもしれませんが、少なくとも私の中では。
あの時は、十分な議論も出来ぬまま、
完成に至り、結果はご存知の通りです。
佐賀地裁は公共事業に対して否定をしました。
賛否両論あるものだと思います。
今は議論を尽くす所まで尽くす時です。
井手先生は賛成派として、
前原大臣以下は反対派として、
見応えのある、
そして胸に響く討論・議論を期待しています。
ふざけるな!十数年前に、八ッ場ダムを、建設着工をした時に、さきがけに居た人は、誰と誰と誰ですか?ほとんどが、民主党のH総○・K幹○長・M国○相等、居たんでは、ないかな?今更中止は、おかしい。金が無いなら、H総○の故人献金をまわしたり、N松建設からまたO代○が、政治献金してもらって、国費を増やして貰いたいものです。
いやあ…この問題は、どう考えたって建設中止にしない方が良いですよ。
途中で止めたら余計、今まで掛かった税金が無駄でしょう。
中止賛成派の方々は、もし、同じ境遇の立場になったとしても断固中止に賛成なんですかね?!
所詮、他人事にしか思ってないとしか思えませんね…
国レベルで考えろ!と良く言われますが、何のキチンとした、事前相談も無しに、政権交代直後に、中止!って…
勝手極まりないと思いますがね…
八ッ場ダムは広い意味での自民党政治のツケかもしれませんが、なぜそれが八ッ場ダムなのかをもう一度考えることが重要だと思います。
当初計画から57年、あと6年で八ッ場無関連工事は完成します。
これから必要な経費は、約1400億円。しかし、中止すれば2700億円以上の負担となります。この差額は全て血税なのです。
地元八ッ場の住民のためにも、税金を負担する国民のためにも、冷静に考えれば八ッ場ダムの工事は完成させるべきだと思います。
つまり、八ッ場ダム中止は大型公共工事の見直しの「象徴」の意味しかないことを、私たちは気づかなくてはならないと思います。
もちろん、他の無駄のダム工事は慎重に検討し、中止することには大賛成です。
そうですかね。 自民政治のツケを前原大臣が誠心誠意対応されている姿には感心しました。
住民の生活、とよく言われますが、国全体から見て、中止するという決断は決しておかしいものではないと思います。
完成することにこだわればこだわるほど一般国民からは異様に思えます。