さる3月19日、井手よしひろ県議ら公明党県本部では、「農家への戸別所得補償制度に関するアンケート」の結果を取りまとめ公表しました。このアンケートへの県内農業者の関心は高く、地元紙にも大きく取り上げられました。
今回の「農家への戸別所得補償制度に関するアンケート」の結果で、特に目立ったのが、茨城県の主要な作物である野菜、果樹などの園芸農家からの厳しい評価でした。
新年度からコメを対象に実施される戸別所得補償モデル事業への対応で、稲作農業の現場は慌ただしい。その一方で、野菜、果樹などの園芸農家は“蚊帳の外”に置かれたままだからです。民主党は、2011年度以降、麦・大豆などの畑作物に加え、漁業や酪農・畜産にも所得補償を拡大する方針ですが、野菜、果樹は全く視野に入っていません。
野菜や果樹農家には、一昨年来、原油・原材料価格の高騰が暗い影を落としています。今でも一度上がった重油や施設資材、肥料の価格は高止まりしたままです。
「出ていくお金を削るしかない」これが、野菜・果樹農家から聞こえる声でした。
資材価格などの動向を農業物価指数(2005年=100)で見ると、昨年は重油が毎月110前後、農業用ビニールが120前後、肥料が137.3~157.9で推移。これに対して、農産物の物価指数(総合)は90.6~103.7と低迷し、園芸農家は生産コスト上昇と作物価格の低迷という“二重苦”にあえいでいます。
農家の高齢化や後継者不足、農産物価格の低迷などが重なり、地域農業の経営体力は徐々に衰えています。このまま販売額が減少し続けていくとどうなるのか。生産者の危機感は深まっています。
アンケート結果からは、「なぜ、コメばかりが優遇されるのか」「野菜・果樹農家も戸別所得補償制度の対象だと最近員までまで勘違いしていた。民主党は説明責任を果たしていない」「重油や施設資材の高止まりに対する支援策を充実させるべきだ」「価格が不安定な果樹や野菜の価格補てん対策などが必要」「全国一率の制度設計は意味がない」など、農家への戸別所得補償制度見直しへの意見が寄せられました。
鳩山政権は平成22年度の農水省予算案で、農業の基盤整備を担う土地改良事業を前年度比約6割も削り、2129億円とする一方、戸別所得補償制度には5618億円を盛り込みました。
コメが予算で突出する半面、野菜、果樹について民主党はマニフェストで言及すらしていません。民主党政策集には「新たな支援策を講じます」(インデックス2009)との記述があるのみで、具体策はまったく見えてきません。
コメだけではない日本農業の多様性に鳩山政権は、どう向き合っていこうとしているのか。園芸農家は、農政の行方を凝視しています。