早期開通の地元の夢遠のく、工事は大幅に遅れる見込み
4月9日、国土交通省は高速道路の再検証結果を公表。東関東道水戸線の潮来IC~鉾田IC間の31キロ区間は、国が運営する「直轄施行方式」の無料道路として整備されることが新たに決まりました。
この区間は2009年4月、国の国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)で、基本計画区間から着工の前提となる整備計画区間に格上げされました。国交省では整備手法の見直しを行った結果、料金収入と税金を併用する「合併施行方式」から、税金で賄う直轄施行方式に変更。このため、供用開始時から料金徴収は行わないことになりました。
東関道水戸線については、1.重要港湾群や国際拠点の成田空港、茨城空港へのアクセス強化が図られる、2.北関東と東関東を結ぶ広域的な連携軸の形成――の2点の整備効果が高いと指摘しています。
総事業費は710億円で、今年度は4億7000万円が予算化されました。
4月10日付の読売新聞は、「無料道路に決まったことについて、地元からは歓迎の声が上がった」と、地元首長などの歓迎の声を紹介していますが、地域住民にとって好ましい結論なのでしょうか。
平成22年度の国直轄道路事業の箇所付け箇所の合計額は48億8300万円程度です。この金額と同程度の予算が認められたとしても、710億円の工事を完了するためには15年間かかるという計算になります。
この単純計算が出来ないで、歓迎のコメントを出す地元首長は全く理解できません。
直轄事業でやりますと言うことは、無料の道路なのだから10年20年掛かっても地元は文句を結うなという、国のメッセージであることを理解しなくてはいけません。
ちなみに、圏央道の工事は国の直轄有料道路工事として進められていますが、五霞~つくば間が49億円。稲敷~河内間が50億円となっており、合計でも100億円です。毎年、圏央道並みの予算措置が行われても、完成までには7年掛かります。
東関道水戸線は、「直轄施行方式の無料道路」=「整備の緊急性のない道路」と、国は烙印を押したことになります。
参考:高速道路の再検証結果と新たな料金割引(国交省の資料PDF版)
参考:国交省の直轄事業・平成22年度箇所表(茨城県:道路関係分)