5月20日、ひたちなか市に本店を構える「サザコーヒー」で、原子力工学の専門家を迎えての講演会が開催されました。サザコーヒの鈴木太郎専務が企画。子育て中の若いお母さんたちを対象に、原子力機構特別研究員で東京工業大名誉教授・大阪大名誉教授の永井泰樹先生が、「いま 幼稚園のお母さん方の不安に答えて」との演題で講演しました。
会場のサザコーヒー本店は、緑に囲まれた癒しの空間。コーヒーやケーキも提供され、難解な原子力の話を分かりやすく聞くことができました。30人程度の定員で募集した講演会ですが、この日は50人近くの方が集まり、熱心に講演を聞いていました。
永井先生は、茨城県のホームページで公開されている放射性物質のモニタリング結果を紹介しながら、「正しい情報は公開されている。しかし、その情報をどのように判断するかは専門家でも難しい。情報が活かされていない。できるだけ多くの人に理解されるような努力が必要」と、語りました。その上で、「ひたちなか市の平年の線量は、世界的標準と言っても良い。現在の数値は年間に換算すると、0.58ミリシーベルト程度である。毎日の線量の増減に注目し、極端に上がらなければ心配ない。私は安全であると判断するが、最終的にその判断は皆さんが行っていただきたい。その判断の手助けとなる情報の提供を行政は行うべきです」と説明しました。
また、最近線量の値が安定していることを指摘して、「昨年の平均的な線量は40ナノグレイシーベルト/h、現在が140ナノグレイシーベルト/h程度。この差は100ナノグレイシーベルト/hは、表土に降り積もった放射性セシウムによる影響で、半減期が7年とか30年とか長いために簡単には消えません。そこから放射線が出ているわけで、その数値が一定ということは、放射性物質の量は増えていないと考えるのが妥当」とも語りました。
小休止の後、原子力機構人材戦略センターの放射線医療にも造詣が深い女性研究者が、放射線の影響について分かりやすく解説。「保育園の運動会に参加させていいのか」「MRI検査をうけている、これ以上被爆させて良いのか」などの素朴な疑問に、明確に答えていました。その上で、「精神的負担のほうが健康的に悪影響だ」とも語りました。
サザコーヒーの鈴木専務は、「こんなに多くの方に方に集まっていただけるとは想像していませんでした。6月にも第2回を開催したい」と語りました。