7月11日、東日本大震災から4カ月が経ちました。
復興はおろか復旧も遅々として進まない被災地の惨状を前にすると、もはや「天災」という言葉は当たらないことを痛感しています。現下の状況は、菅政権の無為無策がもたらした「人災」以外の何ものでもありません。
「人災としての3・11」を象徴する光景の一つが、岩手県陸前高田市や大槌町、宮城県石巻市など、被害が特に大きかった被災地に広がる“がれきの山”です。
その量は、自治体単独では対応できないレベルであることが当初から分かっていたにもかかわらず、政府はこの4カ月間、「地元丸投げ」の姿勢で傍観し続けてきました。本格的な復旧・復興へと至る道筋が見えてこない最大の要因でとなっています。
こうした中、公明党は7月1日、がれき処理を国の責務として促進する「災害廃棄物処理特別措置法案」を自民党などとの4野党共同で衆院に提出しました。本来なら政府・与党が提出すべき法案だが、菅政権の体たらくを思えば、立法府から国の対応を促すしかないと判断した結果です。
政府は1週間も遅れて8日、がれき処理についての特例法案を衆院に提出しましたが、政府・与党も早期成立に全面協力してもらいたいと思います。
4野党の法案は、被災自治体の要請に応じて国が、がれき処理を代行できるようにするほか、処理費と施設整備・運営費の全てを国が補助することを明記。さらに、がれきの仮置き場と最終処分場の確保など7項目にわたる「国が講ずべき措置」も規定し、国が前面に出て、がれき処理に当たることをうたっています。
今回の震災で生じたがれきの推定量は、岩手、宮城、福島の3県で2183万トンにも上ります。3県の12年分の一般廃棄物を一度に抱えたことになります。しかし、処理の進捗率は6月28日現在、3県平均でわずか32%程度。「8月末までに全て仮置き場に」という政府の方針は事実上、破綻しています。
がれき処理の停滞で危惧されるのは、復旧・復興の遅れだけではありません。
本格的な夏の到来で、がれきに交じった魚介類からは悪臭が漂い、ハエや蚊が大量発生しています。台風シーズンに入れば、がれきの山が崩れて大事故を招きかねません。がれきに含まれる発がん性物質アスベスト(石綿)が住民に与える健康被害も懸念されます。
「人災」をこれ以上拡大させてはなりません。そのためにも、がれき処理特措法案の成立を急ぐべきことを重ねて主張します。
(写真上:岩手県宮古市田老地区、写真下:宮城県女川町)