がれき処理の遅れなど 目に余る政府・民主党の対応の鈍さ
8月11日、震災5カ月目のその日が巡り来ました。本来ならば、復興の槌音が夏空に響き渡り、再生への力強い歩みが始まっていてよい時期です。そのための時間は十分に経過したはず。
しかし、被災地の現状はどうか。復興どころか復旧にすら至っていないというのが実態です。例えば避難者数。内閣府によると、岩手、宮城、福島の東北3県では今なお、1万3000人もの被災者が体育館や公民館などで不便な生活を余儀なくされ、3万8800人もが旅館・ホテルや親族・知人の家に身を寄せています。
3県合わせて2263万トンに上るがれきの撤去も遅々として進んでいません。これまでに仮置き場に搬入された量は1027万トン、45%にとどまっています。
住民の約1割が死者・行方不明となった宮城県女川町では、4階、5階建ての鉄筋コンクリート造りのビルが今も横倒しになったままで、海上には寸断された道路や堤防の端くれが無残な姿を晒しています。福島県沿岸部では、大小の船が田んぼに転がっている光景が延々と続いています。宮城県石巻市はいまだに信号機が滅灯し、警察官が手信号で交通整理をしています。
総じてこの5カ月間、政府の対応はあまりに鈍く、お粗末に過ぎました。東電福島第1原発事故の収束のメドも依然不透明で、肉牛汚染問題の広がりなどさらに混迷の度を深めています。
被災県の市町村長らが口をそろえて「国のスピード感のなさ」を批判するのは当然です。歴史的な災害に立ち向かうには、菅首相のリーダーとしての資質や力量が決定的に欠けていることを痛感しないわけにはいきません。「退陣」を示唆しながらその時期をあいまいにしたり、政府・与党内の合意もないまま思い付きの対応を繰り返す姿などは、その最たるものです。あおりを受ける被災地はたまったものではありません。
その菅直人がやっと退陣を表明しました。しかし、悲しいことに、民主党は本格的な震災対策に本腰を入れるどころか、次期代表選にシフトしてしまったかのような報道が続いています。
もうこれ以上、待てません。これが、震災5カ月を迎えた現地の人々の偽らざる実感です。復旧・復興への取り組みを今こそ飛躍的に加速させなければなりません。
政府・与党の煮え切らない対応を尻目に、私ども公明党は国会・地方議会議員が一体となって震災対策に取り組んできました。3・11以降に行った、政府への申し入れや提言は既に13回610項目にも上っています。
5カ月目の節目の日に、自らが被災した地方議員のとして、「人間の復興」の実現へ、ひたすらに走り続ける決意と覚悟を新たにしました。