7月9日、茨城県議会改革等検討会議が開催されました。この日の会議は、議長に対して県議会の定数に関する答申を行うために、その案文を決定することが目的でした。井手よしひろ県議は、定数問題についていばらき自民党が独断専行で進める議論に、これ以上参加することは出来ないとして欠席しました。
直接の発端は、7月8日付けの「いばらき県議会だより(No180)」です。
県議会だよりの記事は、所管する委員会の委員の同意をとって掲載するのが通例です。6月27日にいわば強行採決で決定された内容を、いきなり掲載したこと自体驚きです。その上、議長への答申の案文検討は9日の検討会議で行われる予定であり、その案文も正式に決まっていない中での掲載は、見切り発車と言わざるを得ません。
さらに、問題なのは掲載された記事そのものの内容です。いか、全文を掲載しますので、ご一読下さい。
県議会改革等調査検討会議を開催し新たな議員定数案を決定
4月16日の検討会議(海野透座長)では、県議会の定数などについて、県経営者協会幡谷浩史副会長、県農業協同組合中央会加倉井豊邦会長、日本労働組合総連合会茨城県連合会児島強会長、県栄養士会髙橋征子会長、県商工会連合会外山崇行会長、県女性団体連盟大越福枝会長、県青年団体連盟箕輪竜会長代理、特定非営利活動法人「茨城の暮らしと景観を考える会」三上靖彦代表理事の計8人の方から意見を聴き、委員と意見交換を行いました。
5月11日の会議では、各会派へ定数に係る意見を照会し、その意見を踏まえ、6月27日の会議で、新たな議員定数案を決定しました。
その内容は、「定数を65人から2人削減し63人とし、併せて行財政改革の視点から平成25年1月より議員の報酬月額を85万円から10万円削減し75万円とする。定数減(2人)及び報酬削減(定数減後の63人全員の報酬削減額合計で5人分相当)で、7人分の経費を削減する」というものです。
今後は、選挙区割りについて検討する予定です。
この報告文を一読した読者は、どう読み取るでしょうか。8人の専門家や各会派の提言を充分に取り入れた結果、自民党案=座長案である『定数2減』が決まったと、誤解させる内容ではないでしょうか。
確認のために、4月16日に行われた専門家からの意見聴取の内容を、再掲してみます。
交通手段、通信手段が地方自治法制定時とは大きく変わっている。なぜ、議員定数削減が進まないのか。議員一人当たりの生産性はいかがなもののか?すでに人口減が始まっている。茨城県の状況は、船底に穴が開いているようなもの。人口減への対応をどのように考えるか。(茨城県が)つぶれるのを待っていて良いのか。定数は減らすべきだ。道州制を前提とした定数の見直しが不可欠だ。
民意をどのように判断するか。一票の格差を1対2に押さえる努力が必要。総人件費の率はどのようになっているか。日立市とつくば市のように、逆転している選挙区対策は待ったなしだ。県政の課題で重要なのは少子化対策と食料自給率(食料の安全保障)の問題だ。
県議会が議会改革にやっと本気になったのかと期待している。人口、税収が減っている。借金が増え続けている。削減ありきの議論ではないが、定数減は必然的選択。1人の選挙区が多すぎる。1人区を少なくしていく努力が必要。地方自治法がおかしかったら、法を変える努力を。報酬の削減も検討すべき。定数は民主党が主張する60以内、公明党の50台が妥当ではないか。
目先の対策、将来的な対策の両方が必要。少子化対策が大事で、茨城県の方向性が見えない。高齢化対策は、予防対策が重要。震災の現場の中で、県議会議員の姿が見えなかった。仕事の姿が見えないのはいけない。
人口5万人に県議会議員1人が原則ではないだろうか。一票の格差は問題である。会長としての私案を提示してみた。300万県民で定数60人。現行の5減から10減が妥当ではないか。
大変難しい課題なのでアンケート調査を行った。60分の55人の回答を得た。その結果では、検討会議の存在を知っている率は56%にとどまっている。
若い層に意見を問いかけたが、県議会に対する意見が帰ってこなかった。国会や市町村と違って、県議会への関心が薄い。自分達の勉強も不足している。
決して定数が多いとは思わない。東北の被災地を回ってみると、「復興計画は誰が決めたんだ」という声が多い。現場と密に関係を持たないと、街づくりは成り立たない。その地域づくりを議員に盛り上げてもらいたい。街づくりに議員に現場に入ってほしい。その中で、制度、政策をともに話し合ってほしい。条例は、法律を上回れないと言うが、現場の声を聞いて法律を動かすような条例を、茨城から打ち上げてほしい。
また、2月17日に行った地方4団体の長の意見陳述では、会田真一県市長会長、渡辺政明県市議会議長会長、野高貴雄県町村会長、小野瀬義之県町村議会議長会長の地方4団体からは、定数削減への厳しい意見が相次ぎました。会田氏は「県内市町村は平成の大合併で85から44に減り、首長や議員は半減した。県議会は手を付けられていない」、渡辺氏「県の財政は厳しい。県議会が行革の範を示すべき」、野高氏「3倍を超える1票の格差是正が必要」、小野瀬氏「県議は選挙の時は活発だが、当選後はその活動の姿が見えないと、住民の目には映っている」と指摘しました。
12人の参考人からの意見をまとめると、その大多数が60人以下への県議員定数削減を求めていたと言えます。
こうした参考人の意見を全く無視する『定数3減』が、県議会改革会議の結論であるなら、今までの会議は単なる自民党案を決定するためのセレモニーであったとと言うことになります。
さらに、各会派の意見も「民主党56」「公明党59」「自民県政クラブ60」「共産党65」「みんなの党42」と、共産党を除いて5減以上の大幅削減を主張しています。
検討会議での議論が、少数会派へのガス抜きであったり、慎重に検討したとのアリバイづくりであってはなりません。
県議会便りの記事が、まさに最大会派自民党の横暴をそのまま象徴しているように思えてなりません。検討会議に出席することが、「2減案」を正当化する手段として使われたくないとの考えから、今後の定数と選挙区割りに関する議論には、原則として参加しないことと致します。なお、会議招集時には、県議会の会派室で待機することとし、その議論の推移は注意深く見守りたいと思います。座長より会議参加の格別の要請があった場合には、別途検討させていただきます。