9月8日午前、井手よしひろ県議は、常陸大宮市御前山(野口)の「つづく農園」を訪問し、いちごを栽培している都竹大輔、菅野大志両氏からお話をうかがいました。10月県議会の代表質問で、新規就農者支援や農産物のブランド化などについて、直接現場の声を聴取するのが目的です。
御前山は、“関東の嵐山”とも呼ばれる風光明媚な場所。ここで脱サラして、いちご栽培の「つづく農園」を立ち上げたのが都竹さんです。(写真右)
そして、その隣地に新たに就農し、いちご農園を始めたのが菅野さんです。(写真左)
国や県、市町村では農業を振興し、地域の活力を維持するために、様々な就農支援策を行っています。お二人から、こうした支援策の使い勝手や、これからの課題などを聴かせていただきました。
脱サラしていちご農家に転身、6年目でグランプリ金賞!
つづく農園は今年3月に開催された「第1回茨城いちごグランプリ」で、見事金賞(第3位)に輝きました。都竹さんが、平成19年に就農してわずか6年で勝ち取った栄冠です。
都竹さんは東京の建設会社で働いていました。岐阜県高山の実家が旅館を経営していることもあり、将来は環境の良い場所でペンションを営むことを夢見て、休日の度に日本各地を巡っていたといいます。そんなある日、栃木県那須を見た帰りに、たまたま御前山の美しい景色に出合いました。奥さんが日立市の出身であったこともあり、この地に住んで子供をのびのびと育てたいと思い、その足で市役所に向かいました。しかし、集客の事を考えると、ペンション経営は難しいと判断。全く未知の分野であった農業の分野に方向転換しました。夢を膨らませ、御前山に移住しました 。
はじめはブルーベリー栽培を考えていましたが、県の「ニューファーマー育成制度」を活用して研修で、農業技術の基本を研修している内に、いちご栽培の有利性を実感しました。
御前山に移住し就農を決意したものの、最初はうちは農地を確保するのも困難でした。「考えてみたら、どこの誰かも知らない者に、先祖伝来の大事な土地を貸してくれるはずがありません」と、都築さんは当時を述懐していました。そこで、近隣の住民に自分を知ってもらおうと、家族の写真を印刷したチラシを作って「土地を貸してください」と呼びかけました。地元のイベントに積極的に参加したり、消防団やPTAの役員などをかってでたりしました。少し時間はかかったものの、何カ月かで、目的の畑を借りることができました。
いちご農園の開業資金は、 国の就農支援資金を活用しました。無利子の資金ですが、スコップから鎌、鍬まで全く新しく買わなくてはならない新規就農者には、いささか使いづらい制度でもあります。
農地法も新規就農者には、少し敷居が高すぎるかもしれません。つづく農園は農振地域に立地していますので、新たに井戸を掘ってコンクリートで固めようとすると、ダメだと指摘されました。農機や肥料を置いておく倉庫も、基礎を打つことは出来ませんでした。
こうした様々な困難を乗り越えての金賞受賞です。
将来的には都竹さんは、「ベリー園」をやりたいそうです。いちご、ブルーベリー、ラズベリーなどが楽しめる観光農園を作り法人化することが夢。そこには、バーベキューハウスを作ったり体験農場を作ったりして、たくさんの方が楽しめる場所にしたいそうです。
そして、つづく農園がある国道123号沿いを「いちご街道」にして、観光客でにぎわう場所にすることで、「地域に恩返しをしていこう」という夢も持っています。後輩にあたる菅野さんが隣地にいちご園を開業しています。全国から新規就農者を御前山の地に迎えたいと希望に胸を膨らましています。
参考:つづき農園のfacebookページ