「防災フォーラムinひたち」で太田昭宏国交相が講演
8月30日、太田昭宏国土交通相(公明党)は、井手よしひろ県議から公明党日立支部(助川吉洋支部長=市議)主催の「防災フォーラムinひたち」に出席し、東日本大震災や広島市の大規模土砂災害などを踏まえて、今後の防災・減災対策のあり方について講演しました。このブログでは、その要旨を紹介します。
- 8月20日に広島で大規模土砂災害が発生した。国交相として、私はただちに省内で緊急会議を開いて対策本部を立ち上げる一方、二次災害が起きないよう、また各自治体に的確なアドバイスができるよう、その日のうちに特殊部隊(緊急災害対策派遣隊=TEC―FORCE)や専門家を現地に派遣した。
翌21日には、自らも現場に直行したが、目の当たりにした被災の光景は言語に絶するものだった。
ご承知の通り、あの日、被災地には毎時50ミリ以上の雨が数時間にわたり降り続いた。1時間に50ミリというのは、車のワイパーを高速で動かしても前が見えない、あるいはマンホールの蓋が飛び上がるという降り方だ。
加えて現地は、花崗岩が風化してできた「真砂土(まさど)」という、もろくて崩れやすい独特の地質構造を持つ。その真砂土が大量の土砂となって、ガレキや流木とともに民家を襲い、被害を増幅させてしまった。 - この大規模土砂災害が残した教訓は多いが、何より肝に銘じたいのは「日頃からの準備」「普段の心構え」の大切さだ。
今、自分が住んでいる地域はどういう地質・地勢で、どのような弱点があるのか。いざという時に自分はどこに、どのように逃げればいいのか。そうしたことを日頃から十分に知り、弁え、準備しておくことが大事である。
- そのための態勢をつくるのは国や県の責任であり、役割だ。国交省としても、14年前に制定された土砂災害防止法について、その視点から見直しを進め、より実効性あるものに改正しようと動いている。
だが同時に、防災・減災の強化には、市民一人一人の自主的、積極的、能動的な参加が欠かせないのも事実だ。その第一歩が、一人一人が互いに自分たちの地域の特性を知り、どのように対応したらいいかをよく分かっていること、この点にあることを強調しておきたいのである。
となると、やはり求められるのは、日頃からの近所のつながりだろう。「自助・公助・共助」というが、もう一つ、近所ならぬ「近助」があっていい。日頃からの近所付き合いの中に危機管理を意識した「近助付き合い」という項目を新たに入れ、より細密な防災・減災の網を地域社会に築いていく。そうして、文字通り、ハード・ソフト両面にわたる官民挙げての防災・減災対策を強烈に前へと進めていきたいと思っている。 - 災害対策では「遅い」「鈍い」「心がない」という3点を注意しなければならない。例えば、被災地に必要なのは、最初はお弁当でもパンでも、取りあえず飢えを防ぐものが必要。次には、温かい物、汁るものが必要になる。段ボールや布団など温かい物、柔らかいものが欲しくなる。つまり、こうした現場の思いを汲み取らなくてはならい。現場に入って、チームワークで結論を出していくということが大事である。
- 東日本大震災の復興については、道路や鉄道など基幹インフラについては復興のメドが立ってきた。今日は、日立市、高萩市、北茨城市の市長さんから、震災に復興にとってどうしても必要な大事な要望を受けた。だが、その一方で、心のケアや復興の格差など新たな問題が浮上していることを見逃すわけにはいかない。公明党として、また国交相の立場から、引き続き「人間の復興」の加速に全力を注ぐことを約束しておきたい。