都市部の若者らを地方の自治体が募集し、地域活動に従事してもらう「地域おこし協力隊」制度が全国に広がっています。隊員数は年々増え、スタートした平成21年度は全国で89人でしたが、平成26年には約1500人を超えるまでに拡大しました。安倍晋三首相は、この制度の状況を視察した島根県で、隊員数を3000人に増やす方針を打ち出しています。
応募者は地方での暮らしや地域貢献を望む人たちが多いのが特徴。地方では少子高齢化の進行や人口流出が深刻です。若者の定住促進策の有効な手だての一つとして、受け入れる自治体を増やしていきたいと思います。
協力隊は他地域に暮らす人材を活用した地域活性化策として、総務省が創設しました。募集は自治体が行い、採用されたメンバーは住民票を移して移住地に住みます。任期は最長3年で、自治体には募集に必要な経費のほか、隊員1人につき最大400万円の財政支援があります。
活動内容は地域によって異なるが、伝統芸能や祭りの復活、地域ブランドの開発・販売、空き店舗を活用した商店街の活性化、耕作放棄地の再生など多岐にわたります。
総務省のアンケート結果によると、任期を終えた隊員のうち約6割が、活動していた市町村か近隣地域に定住しています。任期後も地元に残ってもらうことは、制度の最終目的でもあるので、この動きを大いに評価すべきです。
一方で、受け入れ地域に定住しない人の中には、活動経験を生かして他地域の市町村で活躍する人もいるが、移住地になじめないまま離れる人もいる現実もあります。自治体は地元の魅力を十分に伝え、定住に結び付けていく努力を重ねるべきです。
例えば、定住支援のコーディネーター(調整役)の配置や、隊員からの生活上の相談などに応じる「ワンストップ窓口」を強化すべきです。茨城県では、平成27年度から県内市町村で活動する地域おこし協力隊を支援する担当部署を企画部地域計画課と定めました。地域おこし協力隊の情報交換や研修会などを積極的に行うことにしています。
さらに、受け入れる自治体も導入の目標を明確に定め、地域にもその活動への理解をしっかり求めるべきです。基本的には複数で受け入れるべきだと考えます。単に、他の市町村で実績が出ているからとか、費用は国の制度から拠出されるからという理由で、単に協力隊を受け入れ、後はすべてやってもらおうとする姿勢はあまりに安易です。
現在、茨城県内では8自治体に32人の地域おこし協力隊が活動しています。4月からは新たに4自治体4人が加わることになっています。各自治体は、隊員が無理なく地域に溶け込み、定住の流れが加速するよう、協力隊の活動が地域の創生につながるよう、受け入れ態勢を強化してもらいたいと思います。
参考「地域おこし協力隊のHP」http://www.iju-join.jp/chiikiokoshi/