8月9日、井手よしひろ県議は、地域芸術祭の先進事例を視察するため、「瀬戸内国際芸術祭」が開催されている香川県直島を訪れました。
「瀬戸内国際芸術祭」のメイン会場とも言っても過言ではない直島。実は、日立市とその歴史が似ているところがあります。
日立の発展の礎は久原房之助の日本鉱業。銅の鉱山とその精錬所から発展し、現日立製作所も、そのモーター製造部門として産声を上げました。一方、直島は漁業や農業を主な生業としてしてきましたが、ちょうど100年前の1916年。三菱合資会社の銅製錬所を誘致しました。それ以降、直島は三菱金属鉱業の企業城下町として急速に発展。人口流出の歯止めや豊富な税収によって、香川県内でも有数の裕福な自治体となりました。一方で、島の北半分および周囲の島々の木々が、亜硫酸ガスの影響でほとんど枯れるという深刻な煙害に悩みました。
三菱グループの企業城下町としての発展も、産業構造の変化や国際競争力の低下などが影響し、直島の活力は徐々に削がれていきました。1970年6007人であった直島の人口は、2010年には3315人へと激減しています。
その対策として考えられたのが「直島文化村構想」 です。1980年代後半から、福武書店(現ベネッセグループ)が南部地域の土地を購入し、1992年にホテル・美術館の「ベネッセハウス」建設。本村地区の「家プロジェクト」など、地域と一体となったイベントが始まります。そして地中美術館の建設などを経て、2000年台には「瀬戸内国際芸術祭」へと発展していきます。
企業城下町として発展してきた直島と日立市。新たな地域振興の核をどのように見出すか、更にそこには住民との協働の歩みをどの様に進めるか、日立が学ぶところは数多くありました。
参考:瀬戸内国際芸術祭のHP:http://setouchi-artfest.jp/
(写真上:ベネッセハウス・ミュージアムからの眺望、写真下:草間彌生「赤かぼちゃ」2006年 直島・宮浦港緑地)