今年8月末、民間さい帯血バンクから流出したさい帯血を用いた再生医療を無届けで行った医師らが再生医療安全確保法違反で逮捕されました。
この事件については、現在、捜査当局の捜査が鋭意進められています。報道にあるように、カルテを書き換え、患者の弱みにつけ込んで、高額の治療費を払わせ、効果や安全性が十分でない再生医療を行うことは、再生医療全般への国民の信頼性を揺るがしかねない行為であるとともに、患者を危険に晒すおそれのある行為であって、断じて容認できるものではありません。
9月5日には、公明党として事案の状況をヒアリングするとともに、二度とこうしたことが起きないよう、再生医療法の周知徹底や事案の背景にある民間さい帯血バンクへの対応策、民間さい帯血バンクとの契約時における正確な情報提供の3点の再発防止策を速やかに講じるよう、厚生労働省に要請しました。
これを受け、9月12日、民間さい帯血バンクの実態調査並びに厚生労働省としての対応がとりまとめられ、公表されました。
対応策の主な内容は、
- 民間さい帯血バンクに対する届出制を創設する。
- 再生医療安全確保法で義務付けられている届出を周知徹底し、民間さい帯血バンクからのさい帯血を用いる場合、その安全性・有効性、入手元の確認を厳正に審査するとともに、審査において届出内容等も活用する。
- 民間さい帯血バンクと契約する際に、契約者であるお母さんたちに正確な情報(民間バンクと公的バンクの違い等)を産婦人科医会等医師会、地方自治体を通じて提供する体制を創設する。
今回の事案においては、一部、民間さい帯血バンクと、公明党が創設・推進してきた公的バンクとを混乱させるような記事がありました。そのためご心配された支持者の方から「公明党が推進したさい帯血は大丈夫なのか」といったお問い合わせがありましたが、公的バンクと民間バンクは全く異なるものであり、公的バンクの存在意義を脅かすものではありません。
私たち公明党は、お母さんと赤ちゃんの善意で無償で提供されたさい帯血を用いて白血病など血液難病の患者さんにより良い医療、より良い移植を実施することを推進するために長年頑張ってきました。そして、それを継続的・安定的に実施していくために、公的バンク設立に尽力された民間ボランティア有田美智世さんたちや関係学会の皆様とともに造血幹細胞移植推進法を作りました。
要するに、造血幹細胞移植推進法は、非血縁者への移植を推進するものであり、家族やご自身の将来のために、民間バンクに有料で保管委託契約した臍帯血を用いた移植を推進するものではなく、法目的がそもそも異なるため、この法律において民間さい帯血バンクについてあえて規定を設けませんでした。
今後、二度とこうしたことが起きないようにするためには、再発防止策の実効性が担保されているか、継続的に検証していくことが重要です。近々、厚生労働省において、再生医療・造血幹細胞移植合同委員会が新設され、継続的に検証し、更なる対応を検討することとなりました。
公明党においても、造血幹細胞移植推進PT・再生医療推進PTにおいて、状況をしっかりフォローするとともに、造血幹細胞移植推進法施行後3年の見直しも鋭意検討してまいりたいと考えています。
なお、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党は、今回の事案で流出したさい帯血どのような状態になっているのか、そもそも預けた方に情報を提供できるようと強く求めています。