11月12日、金沢学区自主防災会(金沢学区コミュニティ推進会)の防災訓練が行われました。地震、暴風雨そして北朝鮮のミサイルなど、住民の危機対応は待ったなしの課題です。万が一の事態は、必ず発生るという覚悟で、その準備にあたらなければなりません。
「避難警告が聞こえない」「目が見えない中、1人で逃げるのは無理」―。これらは、2011年の東日本大震災の被害に遭った障がい者のリアルな声でした。
災害時の避難に支援が必要な「要支援者」への手だてをどう確保しておくか。これは防災対策の重要な柱です。
全国の市区町村では現在、「要支援者」を名簿化する作業が進んでいます。
総務省消防庁の調査結果によると、名簿を作成済みの市区町村は6月1日時点で全体の93.8%に達しました。昨年4月1日時点より9.7ポイント増えており、来年3月には99.1%まで達する見込みです。ほとんどの自治体で、要支援者の安全・安心を守る基盤が整いつつあることは評価できます。
東日本大震災では、65歳以上の高齢者が犠牲者の約6割を占めました。障がい者の死亡率は被災住民全体の約2倍に上ります。この教訓を踏まえ、2013年の災害対策基本法の改正で、市区町村に要支援者名簿の作成が義務付けられました。
名簿には氏名や年齢、住所、支援を必要とする理由などが記載されています。災害時、行政はこれらの情報を自主防災組織などに伝え、要支援者の救援に役立てます。
一方、名簿を有効活用する上で課題もあります。
例えば、平時は要支援者本人の同意を得ない限り、行政は外部に名簿情報を提供することができません。しかし、要支援者だからこそ、地域で連携し、事前に避難方法を想定しておくことが求められます。日頃の防災訓練などにも名簿を生かせないでしょうか。
注目したい事例があります。福岡県東峰村では、今年7月の九州北部豪雨の際、要支援者の避難が円滑に行われました。これは、普段から名簿情報を基に要支援者を手助けする「サポーター」を設定し、避難訓練の中でサポーターによる避難支援や危険箇所の確認などを行っていたことが大きいといわれています。
自治体としては、本人の同意がなくても名簿の情報を活用できるよう、条例を制定することも必要です。個人情報の扱いなど難しい面はあるが、自治体で名簿の活用法を話し合い、要支援者ごとの避難計画の策定につなげる必要があります。
本日の防災訓練では、コミュニティの責任者から要支援者名の取り扱いについて要望を受けました。現在、日立市からコミュニティに提供されている要支援者名簿は、あくまでも紙ベースであり、更新、加工が難しいということです。早急にオンライン化、最低でも電子データ化すべきとの要望です。