核兵器保有国と非保有国が双方の立場の違いを乗り越え、一致して核軍縮を進めていく道を探る。そのための「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」の初会合が11月27、28の両日、広島市で開かれました。
賢人会議は、日本の外務省が設立したもの。被爆地の広島と長崎の代表者に加え、米国やロシアなど核保有4カ国と、日本やドイツなど非保有6カ国の有識者で構成されています。
日本が橋渡し役となり、核保有国と非保有国の対立を和らげ、国際社会全体で核軍縮を前進させる環境を整える貴重な機会です。公明党はこの賢人会議の被爆地開催を訴えてきました。
座長の白石隆・日本貿易振興機構(JETRO)アジア経済研究所長は、会議閉幕後の記者会見で「考え方の違いはあるが、なんとか提言をまとめたい」と意欲を示しました。2020年の核拡散防止条約(NPT)運用検討会議に向け、来春開催される準備委員会に提出する予定です。
「核兵器のない世界」をめざす国際社会の機運は今、一段と高まっています。特に、核兵器禁止条約が7月に国連で採択されたことと、同条約の成立に貢献した国際非政府組織(NGO)の「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)がノーベル平和賞を受賞したことは、「大局的に一歩前進」(山口那津男代表)であると高く評価できると思います。
一方で、核兵器禁止条約は、他国の攻撃から自国を守る国家の安全保障上、核兵器を“必要悪”とする考え方から離れ、核兵器を“絶対悪”とし、いかなる場合でも核兵器を必要とする考え方を認めていません。
そのため、核保有国と同条約に賛同する非保有国との間の溝が一層深まっている現状もあります。北朝鮮の核・ミサイル開発問題に直面する日本も核兵器禁止条約への参加を見送りました。
だからといって、核保有国と非保有国との対話がなされず、核軍縮が進まないという事態を招くわけにはいきません。賢人会議で議論を重ね、双方が歩み寄ることが重要です。
核兵器の廃絶は、核保有国が核兵器を実際に廃棄し、非保有国がそれを検証して初めて実現します。だからこそ、お互いの信頼関係の再構築を急がなければならないのです。