厚生労働省は2018年度から、経済的に厳しい状況に置かれがちな未婚のひとり親を支援するため、保育料などの負担軽減をスタートさせます。具体的には、婚姻歴のあるひとり親が税法上の所得控除を受けられる「寡婦(寡夫)控除」が適用されるものとみなして、保育料などを算出するようにします。これまで一部の地方自治体が独自に実施してきましたが、社会状況の変化も踏まえ、公明党が全国展開されるよう推進してきました。
寡婦控除は、婚姻関係のある配偶者と死別あるいは離婚したひとり親などが対象です。適用されれば所得税や住民税が低く抑えられるほか、控除後の税額を基に算出する保育料なども減額されるます。しかし、さまざまな事情で結婚せずにひとり親となった母親や父親には、こうした控除が適用されていません。
このため厚労省は、保育料や難病の医療費助成、ひとり親の資格取得を後押しする「高等職業訓練促進給付金」を含めた25の事業などで、同控除の「みなし適用」を行う方針を決定しました。詳細を今年3月までに検討し、政令や通知などを改正した上で、今年6月から9月にかけて順次、実施することになりました。
未婚のひとり親は近年、増加傾向にあります。厚労省が昨年12月に公表した、ひとり親に関する2016年度調査の結果では、母子世帯のうち未婚の母が8.7%となり、前回の2011年度調査から0.9ポイント上昇しています。一方、母子世帯の母親の年間就労収入を見ると、全体の平均200万円に対し、離婚の場合は205万円、死別は186万円ですが、未婚は177万円にとどまっています。
こうした状況から一部の自治体では、独自に寡婦控除のみなし適用を導入。厚労省によると、2016年8月時点で全市区町村の2割以上が、みなし適用による保育料の軽減を実施していました。
公明党は、各自治体で地方議員が、みなし適用の導入を積極的に推進してきました。また、国政でも本会議や委員会などで、ひとり親になった原因に関係なく、安心して子どもが保育などのサービスを受けられるよう主張。昨年11月に政府へ申し入れた「人づくり」に関する提言でも、未婚のひとり親家庭の保育料負担軽減を提案していました。
税制見直しで不公平解消へ、2019年度改正で検討し結論
今回の見直しで、未婚のひとり親の不公平は一部解消されます。しかし、所得税や住民税の税負担は重いままであるなど、まだ課題の本質的な解決には至っていません。
このため公明党は、税制自体の改正によって、寡婦控除を未婚のひとり親にも適用し、婚姻歴のあるひとり親との間の不公平を解消するよう主張。その結果、昨年12月に自民、公明の与党両党が決定した2018年度与党税制改正大綱には、検討事項として、未婚のひとり親に対する税制上の対応を「2019年度税制改正において検討し、結論を得る」ことが明記されました。