3月3日、地域の子どもに食事や居場所を提供する「子ども食堂」の運営者らでつくる「こども食堂安心・安全向上委員会」は、食堂数が全国で2200カ所を超えたとの調査結果を発表しました。委員会の代表・湯浅誠法政大学教授は、「予想を超える広がり。特別な人が特別なことをしている場所ではなく、支え合いの地域づくりに欠かせないインフラになり始めている」と話しています。
子ども食堂とは「子どもが一人でも来られる無料または低額の食堂」と定義されます。当初は、子どもの貧困対策の文脈で語られることの多かった子ども食堂ですが、実際に行ってみると「子どもも大人も含めた地域の交流拠点」として運営されているところが多く、その可能性は「単に子どもに食を提供するだけ」のものでも、子どもの貧困対策にも留まらない、もっと大きく、支えあえる地域を創ろうとする活動だということが見えてきいます。
委員会によると、全国規模の調査は初めて。今年1~3月、各地の社会福祉協議会などに問い合わせた結果、全国に2286カ所あり、東京都の335カ所が最多で、大阪府219カ所、神奈川県169カ所の順となっています。茨城県内の状況に関しては、委員会の調査によると19カ所となっています。
ただ、地域差も大きく、委員会では「各小学校区ごとに1カ所の開設が望ましく、官民挙げての取り組みが必要だ」と訴えています。
子ども食堂は法律上の定義や行政の枠組みがなく、全国の実態はこれまで分かっていませんでした。2012年に東京都大田区で始まった取り組みが広がったとされ、NPO法人や社会福祉法人、企業など、さまざまな組織が参画しています。
一方、第5回「子どもの居場所・学習支援・子ども食堂」いばらきネットワーク会議が、3月18日に開催されました。その際、「茨城県内のこども食堂マップ」が配布されました。このマップは、茨城NPOセンター・コモンズが集めた情報をもとに作成され、3月20日時点で把握できている食堂が掲載されています。このマップによるとと、県内の子ども食堂は39カ所となっています。
さらに、茨城県子ども政策局青少年家庭課が把握している子ども食堂は、以下の38カ所となっています。
子ども食堂の普及は、貧困対策や孤立化対策には大変重要な取り組みです。全国に小学校は約2万校ありますが、すべての小学校区に設置しようとすると、こども食堂はまだ10分の1程度です。地域の理解を得て定着するためにも、財政面での自律、安定した運営のための人材の確保、食品の安全性の確保などが不可欠です。特に、けがや食中毒などに備えるボランティア行事用保険などへの加入促進が必要です。
井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党は、子ども食堂の充実について、①当面全市町村での開設を目指す。②1週間に1度程度の開催を目指す。③子ども食の登録制を目指す。④登録した子ども食については、子ども食堂保険の費用を県が負担する。などの提案を行っています。
なお、「こども食堂安心・安全向上委員会」は、子ども食堂保険への加入促進キャンペーンを行っており、現在、1000万円を目標にインターネットで保険費用のクラウドファンデングを行っています。
参考:全国のこども食堂を安心・安全な場所に こども食堂の保険加入をすすめたい!
https://camp-fire.jp/projects/view/68605
参考:トップの写真は、「おかえり!ご飯食堂★4月はから揚げ&お腹いっぱいカレー」の告知より
https://www.facebook.com/events/1735553713203978/