地域防災力の中核である消防団の強化に新たな補助制度が創設されました。
総務省消防庁は、消防団が活動に必要な機材を配備しやすいよう補助金を創設します。2018年度第2次補正予算案と2019年度予算案に計14億8000万円が計上されました。
補助対象は、①土砂崩れ現場でがれきを除くのに必要なチェーンソー、②自動体外式除細動器(AED)、③倒壊家屋などからの救助に役立つエンジンカッター、④油圧切断機、⑤油圧ジャッキ、⑥携帯電話が不通の際に有効なトランシーバーの6種類です。
購入費用の3分の1を国が補助します。政府が昨年12月に公表した防災・減災に関する緊急対策の一環で、2020年度まで継続されます。
消防団の強化に一貫して取り組んできた公明党の主張を反映したもので、大きな前進です。
補助対象となる機材は、消防庁が示す消防団の装備基準に含まれています。ただ、全国に約2200ある消防団のうち、これらの装備を配備しているのは11.7%にとどまっています。自前で全てそろえると約160万円かかることが要因とされています。
しかし、昨年の西日本豪雨では被害が広範囲にわたる中、消防団の救助用機材が不足し、思うように救助活動が進まなかったケースが指摘されています。近年の自然災害は頻発・激甚化しており、南海トラフ巨大地震や首都直下地震の発生も危惧されています。消防団の装備充実は喫緊の課題と言えます。
消防庁によると、必要な物だけ購入する場合も補助されます。各自治体は、緊急対策が2020年度までであることを踏まえ、計画的に消防団の装備充実を進める必要があります。
併せて、機材の使用方法や安全上の注意などについて消防団員が講習を受けられるよう消防署と連携を取ることも重要です。
忘れてはならないのは、消防人材の確保です。現在の消防団員数は84万人で、この30年間に15万人減少し、高齢化も進んでいます。こうした中、大規模災害に限定して出動するなど、役割や機能別にメンバーを募る取り組みが広がっています。人材確保へさらに知恵を絞りたいものです。