多くのがん患者さんを治療され、一方で児童生徒だけでなく大人への「がん教育」も実践されている東大病院の中川恵一准教授(放射線治療部門長)が、ご自身もがんを患った経験をもとに、がんから身を守るために知ってほしいこととして7項目を挙げています。
中川先生は、昨年末に早期の膀胱がんを発見・手術をされた体験も踏まえ「がんを知る7か条」としてまとめられました。
「がんを知る7か条」
① 症状を出しにくい病気
② リスクを減らせる病気
③ 運の要素もある病気
④ 早期なら95%が治る病気
⑤ 生活習慣+早期発見が大事
⑥ 早期発見のカギはがん検診
⑦ 治療法も選べる病気
- 症状を出しにくい病気
がんは少々進行しても症状を出しません。樹木希林さんが乳がんの全身転移を抱えながら5年も映画などで活躍できたことからも分かります。ましてや早期がんではまず症状は出ないと言えます。私の膀胱がんもそうでした。 - リスクを減らせる病気
男性の場合、がんの原因の半分以上が生活習慣で、遺伝は5%程度に過ぎません。がんのリスク(危険性)は自身でかなりコントロールできるのです。 - 運の要素もある病気
ヘビースモーカーの上、大量に飲酒をする人でもがんにならない「運のよい人」もいます。逆に、完璧な生活習慣を身につけている人ががんになることもあります。検診もすべてのがんを見つけることは不可能です。がんには運の要素もあることは確かです。 - 早期なら95%が治る病気
がん全体の5年生存率は65%程度ですが、早期がんに限るとほとんどが治癒します。また、治療に要する時間、お金など、コストも進行がんよりはるかに少なくてすみます。 - 生活習慣+早期発見が大事
禁煙や節酒でがんのリスクを下げることは大切ですが、それでも、がんになった場合に備えておく必要があります。それが早期発見。生活習慣の改善と早期発見の2段構えがなんといっても大事です。 - 早期発見のカギはがん検診
早期がんは症状が出ることはまれですから、体調が良くても定期的に検査を行う「がん検診」を受けることが必要です。まずは、5がん(胃、大腸、肺、乳・子宮頚がん)をきちんと受けてください。 - 治療法も選べる病気
もし、がんになった場合、手術以外にも放射線治療という選択肢もあります。薬物療法も進歩しており、がん治療は選べる時代になりました。主治医と、しっかり話し合いましょう。