
本年は、戦後80年という節目の年です。平和な時代を享受してきた私たちにとって、戦争は遠い過去の出来事のように思えるかもしれません。しかし、その陰には、二度と繰り返してはならない数々の悲劇がありました。
松村克弥監督の映画「サクラ花~最期の特攻~」は、そのひとつを鮮烈に描き出します。題材は、第二次世界大戦末期に開発された“人間爆弾”――特攻機「桜花」。プロペラも車輪もなく、母機に吊り下げられ敵艦へ突入するためだけに作られた兵器で、一度搭乗すれば生きて帰ることはできません。
茨城県神栖市・鹿嶋市にまたがる旧海軍神之池基地から飛び立ち、沖縄へ向かった若き搭乗員たち。その中には、まだ17歳の少年パイロットもいました。

松村監督は、日立市を舞台にした映画「ある町の高い煙突」で知られ、地元でも多くのファンを持つ映像作家です。この作品では、特攻兵士を美化することなく、ひとりの人間としての彼らの姿――泣き、怯え、家族や故郷を想いながら無念の死を迎える姿――を丁寧に描きました。そこには英雄的な救いも、美しい言葉もありません。ただ、戦争が奪うもののあまりの大きさを、観る者の胸に深く刻みつけます。
さらに、この映画には監督の強い思いが込められています。大手映画会社の支援を受けず、志を同じくする仲間たちと力を合わせて完成させた背景には、「今だからこそ、この物語を伝えなければならない」という使命感がありました。戦争の記憶が遠ざかりつつある現代において、この作品は、若者の命が戦場に散ることの重さを改めて問いかけます。



主人公は大和田健。緒形直人、林家三平らが脇を固めます。今は亡き渡辺裕之の演技も光ります。役所広司がナレーションを担当しました。
主題歌「桜舞う日は」は、東京大空襲で家族を失った海老名香葉子さんと、その娘でシンガーソングライターの泰葉さんが共作。桜の花びらが散る儚さを、若くして命を落とした特攻兵たちに重ねた、切なくも希望を感じさせる楽曲です。
この夏、平和について深く考える時間を持ちたい方に、心からお勧めしたい作品です。
数量限定ではありますが、監督の企画会社Kムーブのご厚意により、この映画のDVDを販売いたします。価格は3,300円(税込・送料込)です。画面越しに描かれる若者たちの最期は、きっとあなたの心に長く残るはずです。
――戦争 日本 若者たち もう戻れない――
この言葉の重みを、ぜひご自宅で感じてください。