中小企業フォーラムでの声を国の政策に
公明党茨城県本部では、この4月から7月にかけて県内主要都市で、中小企業経営者と県本部代表の石井啓一衆院議員(財務副大臣)や県議会議員との意見交換会を「公明党中小企業フォーラム」と銘打ち開催しました。
その中で寄せられて意見の中で、「金融機関が中小企業に融資する場合は担保力などを補完するため、経営者などに個人保証を求めるケースが大半であり、特に、破たんした企業の債務の返済責任を保証人に無制限・無期限に負わせる「包括根(ほうかつね)保証」をしている例が少なくない。中小企業の活発な活動を支援するためには、この包括根保証制度の改善が必要である」との声が多く寄せられました。
包括根保証方式は、融資ごとに保証契約を結び直す必要がないため、金融機関側にとっては便利ですが、経営者個人の返済責任が際限なく膨らむ恐れがあります。企業の再起が困難になるだけでなく、過大な債務のため自宅などの私財の売却を余儀なくされ、生活基盤すら奪われる事態も相次いでいます。中小企業関係団体からは、「あたかも人生を担保として提供しているかのようである」との声も出されています。
こうした地域の声を受け、公明党は、個人保証の見直しを早くから提唱しています。マニフェスト(政策綱領)の中でも、個人保証を求めない融資の推進とともに、包括根保証制度について「限度額や保証期間を定めるなどの見直しを行う」ことを掲げ、改革に取り組んできました。
こうした公明党の働きかけが功を奏し、法務相の諮問機関・法制審議会の保証制度部会が、2004年8月3日に打ち出した包括根保証を廃止する見直し要綱案は、個人保証や不動産担保に過度に依存する中小企業融資の在り方を改革する試みの一環として注目されます。
要綱案のポイントは、保証契約は書面を交わし、限度額を定めなければ無効としました。保証期限は債権者と保証人の合意があれば5年以内、合意がなければ3年以内に限定しています。債務者や保証人が破産したり死亡するなどした場合は、返済責任をその時点までの融資だけに限定する保護措置を取ることになっています。法務省は法制審の答申を得た上で、04年秋に予定される臨時国会にも民法改正案を提出する方針です。
優れた発想力や高い技術力を持つ中小企業が思い切って新事業を展開したり、再挑戦がしやすいような活力ある社会を構築することが必要です。その観点から、包括根保証制度の改革は最重要の課題です。
(写真は日立市で開催された中小企業フォーラム・2004年5月23日)
<参考リンク>なるほど!経済(YOMIURI ON-LINE 2004年1月10日)「包括根保証」廃止の動き
<参考リンク>根保証ってどんなもの・税務会計情報ネットTabisLand