歳出削減、最大14.3兆円 5年後の財政黒字化
政府は7月7日、経済財政諮問会議と臨時閣議を相次いで開き、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006(いわゆる骨太の方針2006)」を正式決定しました。これを受け、政府は2007年度予算の概算要求基準(シーリング)の策定作業に本格的に着手しました。
骨太の方針では、安全・安心の確保として、少子化対策における「働き方の改革」や、がん対策での緩和ケア、専門医の育成、医療の均てん化(格差是正)をはじめ、災害対策の拡充や若年者の就労支援、「事業仕分け」の考え方など、公明党の主張が随所に反映されました。
また、骨太方針では、11年度に国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化させることを目指し、最大14.3兆円の歳出削減策を盛り込みました。歳入改革では消費税の社会保障目的税化を検討する方針を示したものの、税率引き上げの幅や時期は明記せず、具体策はポスト小泉政権に委ねました。
11年度までの財政不足額は、名目3%成長を前提に16.5兆円と試算。その上で、歳出が自然体で伸びる場合に比べて社会保障で1.6兆円、公共投資で3.9~5.6兆円、公務員人件費2.6兆円をそれぞれ抑制することにしました。その他の分野も含め11.4兆~14.3兆円を削減するとしました。
このうち社会保障については、公明党の訴えで「国民の理解を前提としつつ」歳出を抑制する方針を明記しました。
残る不足額の2.2兆~5.1兆円については「税制改革で対応する」として、増税で賄う考えを示しました。
11年度以降の財政健全化目標としては、10年代半ばまでに債務残高を国内総生産(GDP)比で安定的に引き下げることを掲げています。
一方、歳出・歳入改革とともに優先課題に位置付けた成長力・競争力の強化では、政府・与党で骨太方針に合わせてまとめた「経済成長戦略大綱」に基づき、科学技術やIT(情報技術)の革新による生産性の向上に重点を置きました。
また、「中小企業を成長の原動力に」との公明党の主張を踏まえ、中小企業の活性化も推進します。このほかにも、健康・福祉や観光などサービス産業6分野で15年までに市場規模を70兆円拡大することなどが明記されました。