茨城県私学振興室は、10月30日、県内の私立10校で履修漏れがあったとする調査結果を公表しました。履修漏れがあった生徒数は2937人にのぼり、県内私学22校の約半数で履修漏れがあったことになります。
履修漏れは、県立も含めると県内で16校4450人に上ります。
私学振興室の発表のよると、履修漏れがあったのは、水戸市の茨城、大成女子、水戸葵陵、水城、日立市の明秀日立、茨城キリスト教学園、土浦日大(土浦市)、東洋大牛久(牛久市)、鹿嶋市の清真学園、鹿島学園の10校です。
必修科目の履修漏れがあった市立高校
茨城 | 世界史B | 3年 | 175名 |
大成女子 | 音楽Ⅰ | 1年 | 45名 |
2年 | 49名 | ||
3年 | 28名 | ||
情報A | 3年 | 28名 | |
家庭基礎 | 1年 | 45名 | |
2年 | 49名 | ||
3年 | 28名 | ||
水戸葵稜 | 世界史B | 3年 | 30名 |
水城 | 情報C | 3年 | 707名 |
明秀日立 | 情報A | 3年 | 34名 |
茨城キリスト教学園 | 世界史B 日本史B 地理B |
1年 | 379名 |
2年 | 343名 | ||
3年 | 320名 | ||
土浦日大 | 日本史B 地理B |
3年 | 98名 |
東洋大牛久 | 世界史B 日本史B 地理B |
3年 | 526名 |
清真学園 | 日本史B 地理B |
3年 | 42名 |
鹿島学園 | 日本史B | 3年 | 85名 |
世界史B | 3年 | 84名 | |
生物Ⅰ | 3年 | 22名 | |
理科総合A | 3年 | 22名 | |
情報A | 3年 | 22名 |
必修漏れ私立10校 県調査
朝日新聞(2006/10/31マイタウン茨城)
高校の必修科目の履修漏れ問題で、県私学振興室は30日、県内の私立10校で履修漏れがあったとする調査結果を公表した。影響する生徒数は2937人にのぼり、県内私学22校(全日制)の約半数で履修漏れがあったことになる。履修漏れは県立も含めると県内で16校4450人に膨らんだ。
私学振興室が27日からFAXで調査した結果によると、履修漏れがあったのは、茨城、大成女子、水戸葵陵、水城(以上水戸市)、明秀日立、茨城キリスト教学園(以上日立市)、土浦日大(土浦市)、東洋大牛久(牛久市)、清真学園、鹿島学園(以上鹿嶋市)。
朝日新聞の調査に加え、新たに履修漏れが明らかになったのは、大成女子の1、2年生94人に音楽や家庭基礎▽茨城キリストの1~2年生722人に世界史、日本史、地理のいずれか▽鹿島学園の3年生の191人に日本史や世界史、生物、理科総合、情報。水城は情報Cの履修不足が707人に膨らんだ。
進学重視が背景に 解説
今回、私立高で履修漏れがあったのは多くが「特別進学コース」や「進学コース」をうたうコースだった。
履修漏れがあった私立高の教頭の多くは「私学は進学実績がそのまま生徒募集に反映する。実績をあげるには、受験科目に絞った方がいいと考えていた」と話す。
また、別の私立高の教頭は「私学はある程度自由にカリキュラムを組んでいいと思っていた」と語り、「県私学振興室にカリキュラムも見せたので、問題ないと思っていた」と話す学校もあった。
だが、肝心の振興室は「補助金にかんする書類をチェックするだけで、カリキュラムまでは見ていない」と言う。
公立は各都道府県の教育委員会が「設置管理」するのに対し、私立は都道府県が「監督」するのにとどまる。振興室で私立高を見ているのは実質2人。私学の「独自性」を尊重するという大前提から、カリキュラムまで踏み込むチェック機能はなく、そのための体制もないのが実情だ。
私立高で県立高以上に履修漏れが相次いだ背景には、進学を「独自性」とする高校と、その「独自性」を尊重するため、指導を控える行政の姿勢が背景にあるようだ。
また、調査結果の公表でも、公立に比べ、私立が遅れた。県教委は、文科省から指示のあった翌日の26日に公表した。だが、振興室が正式に調査を始めたのは27日午後。同室は「文科省の指示を待っていた面もある」とする。
しかし、高校生にとっては、公立か私立にかかわらず、自分が履修漏れかどうかをいち早く知りたい、というのが心情だ。公私立足並みをそろえて調査し、結果を公表した北海道のような自治体もある。
文科省の指示の有無や、庁内の縦割りに関係なく、もっと早く調査し、結果を公表することができなかったのだろうか。