「あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、しょうがないと思っている」との迷言(?)を残して、久間章生防衛相は大臣の座を降りることになりました。3日午後、久間防衛相は安倍首相を首相官邸に訪ね、アメリカが広島、長崎に投下した原子爆弾に関する自らの発言が国民の誤解や与党の混乱を招いたとして、辞任する考えを伝えました。首相も参院選などへの影響を考慮して、その場で慰留することなく了承しました。
午前中には、公明党の冬柴国土交通相が記者会見で、「2度までも原爆被害を受けた民族として容認発言は許されない。政治家として出処進退を考えるのが当然だ」と述べていいましたが、辞任という結論は予想以上のスピードで決断されたようです。
後任の防衛大臣には、国家安全保障を担当している小池百合子首相補佐官の起用が決まり、4日後にも皇居での認証式が行われることになりました。
哲人の言葉に「われわれ世界の民衆は、生存の権利をもっております。その権利をおびやかすものは、これ魔ものであり、サタンであり、怪物であります」との厳しい言があります。この言葉は、核兵器を「魔」の産物ととらえ、核兵器の使用を“絶対悪”とする思想です。国家や民族の利益といった次元ではなく、普遍的な人間の生存の権利という根源の次元から、核兵器の保有とその使用を断罪するものです。時代がいかに移ろうとも、唯一の被爆国である私たち日本人は、「核兵器の行使」=「絶対悪」という考え方は共有したいものです。
久間元大臣の発言は、閣僚としての資質に欠けるものであり、辞任は当然といわざるを得ません。
<参考>久間元防衛相の発言の詳細