自民党、公明党案を受入れ、行政の肥大化にも配慮
10月12日、自民・公明の与党両党の政治資金の透明化に資するプロジェクトチーム(PT)は、政治資金の公開について、人件費除くすべての支出に、領収書を添付し公開することなどで合意しました。
今回、与党PTで合意した項目は、(1)すべての支出の領収書等を公開する(2)公開にあたっては、行政コストの肥大化防止に配慮して、実効性あるものとする――の2点です。自公両党は合意項目を持ち帰り、さらに議論を深めていくことになりました。
一方、会合では、公明党側から、前回の与党PTで自民側が提示した政治資金に関する法案骨子に対する意見を表明。対象とする政治団体の範囲について、現職の国会議員が関係する政治団体とする自民案に加え、「国会議員になろうとしている人」の関係する政治団体も含めるべきと述べました。
また、政党交付金の公開基準をすべての支出(人件費除く)とすることに賛同。公認会計士など第三者の専門家を対象に、政治資金の適正を検査するための研修を実施し、検査人として認証する仕組みなどについては理解を示しました。
政治資金の公開のあり方について自公両党は、先の参院選で示された民意を踏まえ、政治への信頼を回復するため、連立政権合意に「1円以上の全ての支出に領収書等添付を義務付け」を明記しました。公開のあり方については「独立した第三者機関」の設置など、国民の理解が得られるよう、政党間で協議を行い、「今国会で成案を得ることを目指す」としました。
これを踏まえ、与党内に政治資金の透明化に資するPTを発足。公明党は、政治資金の公開基準について「1円以上のすべての支出について領収書添付を義務付けた上で公開する」と主張していました。
1円からの領収書を全面公開すると、開示請求があった場合などの行政経費がかさむ懸念があり、自民党は慎重な姿勢を崩していません。そもそも、領収書を公開すれば、マスコミやオンブズマンなどの第三者によって詳細な調査が行われることは自明であり、その対応の煩雑さなどに腰が引けていることは否定できません。
しかし、「信頼」こそ政治の原点であり、その信頼を回復させるためには、領収証の全面公開は是非必要です。
また、今後の課題として地方議員をはじめとするすべての政治団体の政治資金報告も領収書の添付を義務づける必要もあります。その意味では、国会議員の領収書添付とそれをチェックする第三者機関の設置は大きな前進となると確信します。
政治資金、全領収書公開で合意 自民、公明に譲歩
朝日新聞(2007/10/13)
自民、公明両党は12日、国会内で「政治資金の透明化に資するプロジェクトチーム(PT)」を開き、「すべての支出について領収書を公開」で合意した。これまで自民党は、個人や企業・団体からの政治献金の支出について「1円以上の一定額」という表現にとどめていたが、全面公開を主張する公明党に歩み寄った。ただし、付帯条件もあり、今後の論議によっては、実質上、全面公開とならない可能性もある。
今後、両党は公開方法などを詰めたうえで、政治資金規正法や政党助成法など関連法の改正案をまとめ、今国会提出をめざす。
協議には、自民党の武部勤・改革実行本部長、公明党の東順治・政治改革本部長らが出席。(1)すべての支出の領収書等を公開する(2)公開にあたっては行政コストの肥大化防止に配慮して実効性あるものとする――の2点で合意した。
所管する総務省や自民党は、全面公開とする場合、従来より情報開示作業が大幅に増えるとしている。このため、「行政コストの肥大化防止」を理由に、公開範囲を事実上絞ることも、今後、検討される見通しだ。
PTでは、自民党提案の政治資金をチェックする第三者機関「政治資金適正化委員会(仮称)」の設置ではほぼ一致し、公認会計士など専門家の監査を義務づける方向だ。公開対象については、国会議員にかかわる政治団体に限定する自民党に対し、公明党には地方議員まで広げる意見もあり、引き続き協議する。
一方、民主党は、すべての政治団体を対象に、すべての支出に領収書添付を義務づける政治資金規正法改正案をまとめており、来週中にも参院へ提出する。自民党の方針転換の背景には、公明党の考えに近い民主党の法案提出で、与党内の足並みが乱れることを避けたいという思惑もあったものとみられる。