耐震性 低コストで高める
テレビ東京・ワールドビジネスサテライト(2008/5/21)
水戸市立双葉台中学校。耐震強度を高めるため、最上階を取り除くやり方でのぞんだ。4階部分をなくすことで荷重を減らし、補強するため筋交いの数を極端に減らす全国で初めての取り組みだ。
「当初32ヵ所の鉄骨ブレス=筋交いが必要。こうすることで10ヵ所に減らせた」(篠原勤 課長補佐/水戸市教育委員会 学校施設課)
筋交いの数を減らすのにこだわるには、わけがあった。生徒の学習環境の確保だ。
教室に光を取り入れたり風通しを考えた上で、担当者自らがこの方法を思いついた。しかし、もうひとつ大事な恩恵を生んでいた…。
「財政的側面」――
「国の補助金・交付金制度はあるが、基本的に地方負担というのがある。限られた予算のなかで工事費をねん出するのは難しい」(篠原勤 課長補佐/水戸市教育委員会 学校施設課)
耐震改修がなかなか進まない原因のひとつが財政的側面だ。特に小中学校は市や町が建設するので、耐震改修といっても、そんなに容易なことではない。今回、この手法をとることで、およそ1億円の経費削減につながった。
水戸市の耐震改修率は全国平均より若干少ない53%。去年、国が補助金の引き上げたのに伴い、これまで2校ペースだった耐震改修を今年は5校とペースを上げる。
「今年度から『耐震促進計画』を立て、平成27年度までに100%耐震化を実現」(篠原勤 課長補佐/水戸市教育委員会 学校施設課)
平成19年4月の時点で各県別の耐震改修率は、40~80%とまだまだバラつきがある。大地震を想定していない地域の耐震改修は、これからというのが実情だ。そんな中、政府も新たな対策へと動き始めた。
「予算を増やし、補助率をあげることを検討する。補助率を変えるためには、法律改正がある。財務省と相談し、与野党の理解を得て、法律改正も視野に入れる」(町村官房長官)
耐震化工事の補助金のさらなる引き上げや、補正予算による関連予算の増額も検討課題に加えられた。いつ起こるか分からない天災に”学校の耐震化”は間に合うのか…?
井手よしひろ県議は、8月8日、水戸市立双葉台中学校の校舎耐震改修の視察を行いました。
双葉台中学校では、校舎耐震化にあたって、4階部分を撤去し3階にすることで荷重を減らし、当初の耐震化設計で必要とされた筋交い用の鉄骨ブレスを32箇所から10箇所にすることを可能としました。
これは、採光や風通しなどの学習環境も確保するためで、その上、改修のための経費を約1億円削減することができました。
このような大胆な耐震改修方法は全国初とのことで、先のテレビ東京・ワールドビジネスサテライトなどでも紹介されました。
さらに、(社)文教施設協会による19年度公立学校優良施設表彰の先進技術部門を受賞しています。
国は、公明党などの強い要請を受け、公立学校施設の耐震化を加速するために、政府が国庫補助率引き上げ(1/2から2/3へ)を決定し、そのための地震防災対策特別措置法の改正案が成立しています。
学校施設の耐震化には多額の財政負担が伴います。国を挙げた財政支援と、自治体の工夫で学校施設の耐震化をさらに進めていかなければいけません。