茨城就航3社と交渉
読売新聞(2009年3月3日)
比・マカオ・香港定期便検討
セブパシフィック航空(フィリピン)、ビバ・マカオ、香港エクスプレス航空の3社が茨城空港への乗り入れに強い関心を示し、県と就航交渉をしていることが2日、わかった。格安航空大手のエア・アジアX(マレーシア)も路線開設に前向きな姿勢を示しており、国内線誘致が難航する中、アジアの格安航空会社を中心に路線拡大を目指す県の戦略が鮮明となってきた。
2日の県議会代表質問の答弁で、橋本知事も「(就航が決まった)アシアナ航空やエア・アジアX以外にも、茨城空港に関心を示している航空会社があり、特に高い関心を示しているフィリピンや香港、マカオなどの航空会社に対し、就航への働きかけを行っている」と述べた。
交渉中であることが新たに明らかになった3社は、既に日本への乗り入れを実現させているが、首都圏への定期便が確保できていないのが共通点。県空港対策課によると、ビバ・マカオが成田空港にチャーター便で乗り入れているほか、セブパシフィックや香港エクスプレスは関西空港などの便を持つが、成田、羽田両空港への定期便の運航実績はないという。
セブパシフィックと、ビバ・マカオは格安航空会社。香港エクスプレスは、格安航空会社という位置づけではないものの、ほかの2社と同様、大手に続く第2、第3の航空会社として、日本の首都圏空港への進出を狙っている。
茨城空港が開港する2010年には、成田、羽田両空港の発着枠が拡大する予定だが、3社とも両空港の定期便を確保するのは難しいとみられている。
マカオ便は、日本からの観光客利用が期待できるほか、フィリピン、香港便は観光、ビジネス両方の需要が見込める。ただ、「アジア各国とも通貨が落ち込んでおり、交渉がすんなり行くとは限らない」と、世界的な景気悪化を懸念する声も関係者からは出ている。県空港対策課も「先行して交渉を続けてきたエア・アジアXと比べると、交渉は初期の段階」としており、今後は、搭乗率保証などを含め、効果的な誘致策を具体的に検討していく方針だ。
3月2日開催された県議会代表質問で、自民党会派の質問に対して、橋本昌県知事は「茨城空港に関心を示している航空会社があり、特に高い関心を示しているフィリピンや香港、マカオなどの航空会社に対し、就航への働きかけを行っている」と答弁しました。これを受けて、翌日の読売新聞は独自取材の結果として、フィリピン=セブパシフィック航空、マカオ=ビバ・マカオ航空、香港=香港エクスプレス航空の3社を具体的に名称を挙げて報道したものです。
セブパシフィック航空については、このブログでも「海外には『トーキョー・メトロポリタン・イバラキ』空港で認知度アップ」で触れましたが、既に関西空港とフィリピンのマニラ間を片道8000円程度の破格値で結んでいます。フィリピン国内の航空会社間の摩擦もあるようですが、首都圏に定期便が就航するメリットは、日本人だけではなく、フィリピンの方にも図り知れないものがあります。
ビバ・マカオ航空は、中国マカオの格安航空会社で、2007年にはCAPAのNew Airline of The Yearを受賞しました。東洋のラスベガスと称されるマカオを拠点とし、ボーイング767をマカオとアジアの数都市へ直行便にて運航しています。エコノミークラスとプレミアムクラスの2クラス制を導入しています。
成田とマカオ間にプログラムチャーター便を週2便運航しており、今年2月から個人への搭乗券販売を開始しました。エコノミークラスで往復3万円(出発日14日前購入の場合、燃油サーチャージ、諸税別)の格安価格で販売しています。マカオへの観光客は、前年度比で20%以上増加しており、今後の利用拡大も期待されている路線です。
香港エクスプレス航空は、香港を拠点とした航空会社です。中国第4位の航空会社である海南航空の傘下にあります。2008年4月からの日本と香港の間の航空自由協定を受けて、日本便を大幅に増便しました。機材はボーイング737-800型機を利用しています。
香港エクスプレスは格安航空会社ではありませんが、首都圏への乗り入れは、大きな課題となっており、その意味で茨城空港への就航は魅力的な路線でもあります。
海外航空会社への就航交渉での「搭乗率保証」は論外
また、自民党の代表質問では搭乗率保証について言及しておりました。アシアナ航空の就航表明に対しても、搭乗率保証の話があったのかとの質問がなされました。橋本知事は「搭乗率保証を交渉の条件にはしていない」と明言しました。これは、当然の発言だと評価いたします。県民の利便性の確保に大きく役立つであろう国内線への搭乗保証であるならば、検討の余地があるかもしれませんが、海外の航空会社との就航交渉の中で搭乗率保証の考え方を持ち出すことは、「不見識」といわざるを得ません。