12月2日、井手よしひろ県議が所属する県議会保健福祉委員会が行われ、県企業局、県病院局、保健福祉部の所管事務事業に関する活発な質疑が交わされました。
午前中行われた企業局の質疑では、平成21年上期の業務状況の報告、工業用水事業の今後のあり方や水道普及率向上のための新たな取り組みなどについて説明がありました。また、企業局が整備している「阿見東部工業団地」に、7月にオープンした「阿見プレミアムアウトレット」の状況や臨時の駐車場の貸し出しについて報告がありました。
茨城県企業局では、那珂川・鹿島・県西広域・県南広域・県央広域の5つの工業水道事業を行っています。現在の処理能力は、1日最大給水量が112万トンで、県内の276社(305事業所)に工業用水を供給しています。整備計画の89%の整備状況となっています。
茨城県の5つの工業用水事業
事業名 | 那珂川 | 鹿島 | 県西 | 県南 | 県央 | 合計 |
給水先 | 6社9事業 | 69・78 | 136・149 | 51・54 | 14・15 | 276・305 |
1日最大 給水量 | 76,680t | 885,000t | 79,650t | 40,000t | 46,000t | 1,127,330t |
料金(m3) | 20円 | 1期32.7円 2期32.7円 3期59.3円 | 105円 | 105円 | 68円 |
工業用水事業の課題としては、工業団地間の競争は県域を越えて激化しており、企業の重要なインフラコストとして料金の引き下げを具体的に検討していかなくてはなりません。
例えば、最大の給水量をもつ鹿島工水の料金は1立方米当たり32.7円(1・2期)、59.3円(3期)となっています。それに対して、競合すると想定している岡山県の水島臨海工業地帯、三重県の四日市臨海工業地帯等の工水料金と比べて
2倍程度割高であることが指摘されています。鹿島工業地帯の競争力を高めるためには、工業用水の料金も大きなファクターとなっています。
反面、平成27年度には企業債等の償還金のピークに達することが予定されており、施設・設備の更新や一般税源の借入金の早期償還など、余剰の資金を競争戦略に振り向けるのか借入金の返済に振り向けるのかの重い判断が迫られています。
さらに、企業局が運営する上水道事業(市町村への水道水の卸売り事業)も、その料金の割高感が指摘されていることから、なぜ、工水は料金が下げられて、上水は下げられないかという県民の率直な疑問に対して、分かりやすく説明する責任が求められています。
水道用水供給事業については、全国でも低位にある水道普及率の向上策が最大の課題となっています。平成19年度末の普及率は全国ベースが97.4%であるの対して、茨城県は91.7%と全国44位に低迷しています。市町村別では、鉾田市61.8%、稲敷市68.7%をはじめとして、8割未満の整備率の市町村が6市町あります。
こうした現状の中、企業局では新規の水道加入者に対して、水道使用料を減免する制度の導入を検討しています。
具体的には、県企業局が水道用水を供給している市町村が新規水道加入者に対して、加入費や工事代金の減免などを行う場合、3年間にわたって増加した水道料の二分の一を減免するというものです。一般的な家庭では年間で7500円程度の水道料の低減の効果があります。
市町村に対しては、加入費や工事代金などの減免制度の導入を求めており、こうした誘導策で全国平均レベルの水道普及率を目指すことにしています。
参考:茨城県企業局のHP
市町村への県給水料 新規加入の半額減免
茨城新聞(2009/12/3)
来年度から3年間
低迷する水道普及率の向上を図るため、県企業局は2日、県の水道用水を供給されている市町村に対し、新規加入によって増加する水道使用料の半額を3年間減免する制度を来年度から設けると明らかにした。新規加入者に対し、市町村が水道加入金や水道加入工事費の一部を補助するなど、経済支援の実施が条件となる。県は特に普及率が低い鹿行地域の加入者増を図り、水道事業の安定経営につなげたい考えだ。
県企業局によると、県の水道用水供給事業を受けているのは現在37市町村。新制度で県が減免するのはあくまで市町村に対する供給水料金だが、市町村に経済支援を実施してもらうことで加入促進につなげていく。
県企業局業務課によると、水道供給で県が1世帯から得る収入は、鹿行広域水道用水の場合で年間平均1万5千円程度。県は3年間で2万2500円の減収となるが、普及率向上によるメリットの方が大きいという。
本県の水道普及率は91・7%で全国44位(2007年度末)。特に鹿行地域は81・2%と県内平均を大きく下回っている。