会計検査院が今月公表した報告書(平成21年度決算検査報告)によれば、53の都道府県・政令指定都市が10月までに実施した内部調査の結果、不適正な経理処理などの総額が111億円余りに上ることが判明しました。「裏金づくり」などを目的とした自治体による不正経理の実態が、またもや明らかになったことになります。
2008年から3年かけて行われた検査院の調査では、47都道府県と4月に政令市に移行した相模原市を除く18政令市の全ての自治体で、何らかの不正経理が見つかりました。検査院の指摘金額は合計で約54億円でしたが、自治体の内部調査では対象事業を広げたことにより、金額は約2倍以上に膨れ上がりました。
自治体に限らず、省庁などの政府機関をはじめ、税金を取り扱うあらゆる組織・団体で横行している不正経理の問題は、税金の使い方に対する国民の信頼を著しく損ねています。こうした悪しき習慣は、一刻も早く断ち切らなければなりません。
会計検査院の報告書では、不正経理が行われる原因として①法令などの遵守よりも予算の年度内消化を優先させた②公金使用の重要性についての経理担当者の認識が欠けていた、ことが挙げられています。いずれにしても、税金を扱う公務員、職員らの意識を根底から変えていくことが必要です。
そのための手段として、公明党が一貫して主張しているのは、不正経理自体を犯罪として処罰する「不正経理防止法」の制定です。
わが国には現在、不正経理を罰する法律がなく、税金の私的流用などをしない限り、詐欺や横領などの罪で処罰されることはありません。
しかし、業者と結託して架空取引で裏金をため込むなどの不正経理は、税金のムダ遣いであると同時に、国民への裏切り行為そのものです。 公明党が提案する不正経理防止法案は、裏金づくりのために虚偽の請求書を要求する行為などに対し、3年以下の懲役か100万円以下の罰金を科すと規定しています。
実現すれば、不正経理を抑止する大きな効果を発揮するのは間違いありません。
公明党は昨年7、11月、今年4月に続き、先の臨時国会でも参院「不正経理防止法」を、いずれも自民党との共同提案で提出しましたが、民主党が法案を審議する委員会への付託に同意せず、審議未了・廃案となっています。
不正経理の根絶をめざしこの法案に、なぜ、民主党が反対なのか、その理由が全く理解できません。