茨城県議会は、1月11日の初登庁を前に、会派の構成や議長人事、委員会の調整などが水面下で進んでいます。自民党会派が改選前の45議席に迫る勢力を維持することはほぼ確実な状況で、大惨敗と言われる民主党の議席は変わらずの6議席。全体では大きな変化があったとはいえない状況となりました。
しかし、その構成は、今までの議会とは全く異なっています。今回の県議選では、新人議員が18人誕生し、1期2期の議員数が3期以上の議員の数を超えました。
これは、茨城県議会が大きな改革のチャンスを迎えたことを意味します。
時あたかも、阿久根市や名古屋市では、首長と地方議会のあり方が大きな議論を呼んでします。「県議会は何のためにあるのか」、「県議会議員は何をしているのか」、「県政の課題に県議会議員はどのように責任を取るのか」、「県議会議員の定数は多すぎないか」、「県議会の議員の選挙区割りは不平等ではないか」などなど、多くの有権者の皆さんから、疑問が突きつけられました。
10月18日付けの「日経グローカル」に、都道府県議会の改革度ランキングが公表されました。それによると、茨城県議会の改革度総合偏差値は39.7で、全国40位と下位に低迷しています。
「自治体議会改革フォーラム」が提案する改革目標10を列記すると、
- 議員同士が責任を持って自由に討議する議会:市民の多様な声を代表する議員が、自ら議案を提案し、自治体運営全般について討議し、地域の意思決定を行っていく場をつくり出すこと。自由な討議形式等の導入。
- 市民も参加できる開かれた議会:請願・陳情をした場合の説明にとどまらず、一般的な議案の審議でも、市民が直接自分の声で発言できる機会の保障。 公聴会、参考人招致等の手法の積極的な活用。
- 積極的に情報を公開し透明性のある議会:本会議だけでなく委員会も公開を原則とし、議事録、議案関連資料等の公開、 インターネットによる動画記録等により、いつでも市民に説明責任が果たせる体制の整備。 議会としての地域報告会等の開催。
- 一問一答で分かりやすい議論をする議会:一問一答による自由で緊張感ある質疑を行うこと。
- 市民に分かりやすい議会:傍聴者にも議員と同じ議案資料を配付し、メモ等を認め、傍聴者が議事を理解しながら傍聴できる環境を整えること。
- 行政となれ合わない議会:質問の全文事前通告をやめること。議会に議案が提出される前の段階で執行側の政策検討の場に議員が参加することを、法定のもの以外は止め、議会で実質的な政策の検討と決定を行うこと。
- 市民と政策をつくる議会:議案の審議や自治体政策についての調査検討のために専門家の知見を積極的に活用し、議会が市民と協力して主体的に政策づくりにとりくむこと。
- 行政から独立した事務局をもつ議会:議会の機能を支える議会事務局を、行政職員のローテーションや首長の人事権による配属ではなく、議会事務局職員として雇用し、育成していくしくみをつくること。そのため必要であれば、自治体議会の連合体としての取り組みを進めること。
- 実効性あるチェック機能をもつ議会:議会と議員のそれぞれが実効性ある行政のチェックを行えるよう、調査実行の手続等を整備し、予算、人員を確保すること。議会が市民からの苦情に応えて問題点を把握し、解決を図る体制を整えること。
- 自ら運営できる議会:自立したひとつの代表機関として、議長による定例会、臨時会の招集権を確立し、議会予算の編成と執行を議会自らが行える制度を実現すること。
改革フォーラムの提案の全てが正しく、実行可能だとは思いませんが、少なくても形骸化した議会の活性化を図る努力をスタートさせる必要があります。
1月11日を、茨城県議会議員の初登庁の日であると同時に、茨城県議会の改革開始の日にしていかねばなりません。
