5月25日、井手よしひろ県議は潮来市役所を訪ね、松田千春市長をはじめとする市幹部と、日の出地区の液状化被害について情報・意見交換を行いました。地元の柚木巌市議が同席しました。
東日本大震災は震源地から遠い茨城県の南部地域・潮来市日の出地区にも甚大な液状化被害をもたらしました。
津波被害や東電福島原発の放射性物質の被害とともに、この液状化被害に対して、国は重大な決意をもって対応する必要があります。
とりわけ、住居が傾くなどの被害に遭われた方々に対するきめ細かな救済と、液状化が起こらない工法の推進など今後の防止対策の検討が急がれます。
地盤工学会の調査では、大震災で液状化の被害を受けた地域は東京湾岸部だけで約42平方キロメートル、阪神・淡路大震災の被害面積の4倍超に相当する広範囲に及んでいるといわれています。
松田市長は、「国内最大規模とされる液状化被害は従来の想定を根底から覆し、被害の認定基準など災害関連の制度に潜んでいた問題を浮き彫りにしました。日の出地区の被害は、そこに住宅を建設した個人の責任ではないはずです。国策である経済発展、鹿島開発のいわば影の問題として、今現実化した課題です。誰を責めることも出来ないが、ここは実態に即した対応が必要だ。今後の指針となるような対応を、国には強く求めたい」と強調しました。
これまで液状化に関わる住宅の被害認定は、傾き具合に応じて「全壊」だけが規定されていました。「大規模半壊」や「半壊」の基準はなく、住宅が地面に潜り込む被害も想定されていませんでした。
被害認定がなければ、住人は支援を受けられません。改善を求める公明党などの声を受け内閣府は今月、こうした被害を判定する基準を新設しました。この対応は一応評価に値します。
しかし、問題はこの認定基準の見直しで解決できるものではありません。被災者に最大300万円の支援金を支給する被災者生活再建支援制度は、解体や新築をしない場合は、限度額までの支給はありません。その上、液状化被害の復旧のために必要費用は、沈下した基礎を直すのために最低でも500万円程度、土壌を改良するにはさらに500万円以上掛かるといわれ、支援金はその一部にしか充当できません。
潮来市の取りまとめによると、市内の液状化被害は合計で2100棟。旧基準では全壊9棟、大規模半壊31棟、半壊349棟、一部損壊1711棟という一次調査の結果でした。この日の情報交換では、新認定基準で全壊、大規模半壊、半壊が合計で1000件以上に増えるであろうとの見込みが示されました。
こうした日の出地区の現状から、松田市長は「国は新認定基準にも、100分の1の傾斜でも居住者が苦痛を感じると明記しており、それ以上の被害は半壊以上と見直すのが適当」と語りました。また、「潜り込みに関する基準も、どこが基準面なのか国の基準には明示されていない。実際には地面も沈下しており、床下1メートルまでの潜り込みはほとんど無く、基準として現状に合わない」と厳しく指摘しました。
最後に、松田市長は、「被災者の二重ローンの解消・軽減に国は誠意を持ってあたるべきだ」と語りました。
(写真上:松田市長と意見交換する井手よしひろ県議、写真下:液状化被災住宅を現地調査する松田市長と額賀福四郞衆議院議員)