10月5日、自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長は都内で会談し、民主党が呼び掛けている東日本大震災の本格復興に向けた2011年度第3次補正予算案に関する3党協議に応じることを決めました。6日午後に3党幹事長会談を開き協議入りの考えを伝えました。
また、両党は、「3党協議で歳入・歳出を検討していく。その際には(両党の)政調、税調レベルで打ち合わせ、意見調整していく」ことを確認。第3次補正予算案については「政府に一日も早く(国会へ)出すよう要望する」との方針で一致しました。
公明党の主張は基本は、「早く国会を開け」「第3次補正を早く編成して、国会に提出せよ」「復旧・復興があまりに遅すぎる。第3次補正を急ぎ、積み残している二重ローン対策も進めるべきだ」――ということにつきます。
3党協議に入ることは決まりましたが、まだ第3次補正の政府案自体が出ていない状況。また税外収入が5兆だ7兆だと政府と前原・民主党政調との意見がまとまらない中での、いわば見切り発車の状況です。
現在のところ第3次補正が国会に提出されるのは10月の終わり頃と言われる遅さですが、公明党は国会のより早い開会を求めています。いまだ各大臣は委員会で大臣所信すら述べていない状況で、各委員会での各大臣への審議も早期に行うべし、と強く求めています。
さて、「3党合意に基づいて」という言葉よく出ますが、この「3党合意、3党合意」と、この2カ月近くいわれているのは何か。8月9日、民自公3党の幹事長が合意した文書が「3党合意=確認書」です。これは「子ども手当、高速道路無料化、農業戸別所得保障などの見直し」の合意文書、第3補正などに大きくかかわるものです。
併せて、その合意の前提ともなったのが、8月4日の「子どもに対する手当の制度のあり方について」の3党合意です。ここには「子どものための現金給付については、上記の支給額等を基にして、児童手当法に所要の改正を行うことを基本とする」とあり、子ども手当は無くなり、児童手当に戻ることが明記されています。
8月中旬、民主党の35万枚のごまかしビラ(子ども手当の存続アピールビラ)が問題となり、謝罪・全面回収となりました。またぞろ、小宮山厚労相は、子ども手当について、「ちょっと姿は変えたが継続した」と発言していますが、この合意文書を良く見直してみてほしいものです。
確認書民主、自民、公明の3党は、以下の点について確認する。
一、歳出の見直しについては、以下の通りとする。
・高速道路無料化については12年度予算概算要求において計上しないこととする。
・高校無償化、農業戸別所得補償の12年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証を基に、必要な見直しを検討する。
なお、これらを含めた歳出の見直しについて、11年度における歳出の削減を前提に、11年度第3次補正予算ならびに12年度予算の編成プロセスなどに当たり、誠実に対処することを確認する。
一、歳出の見直しと併せ、子ども手当等の見直しによる歳出の削減について、11年度補正予算において減額措置することを、特例公債を発行可能とするための法案の付則に明記する。
一、法人税減税等を含む11年度税制改正法案(その内容を一部切り出して6月22日に成立した法律にあるものを除く)については、復興のための第3次補正予算の検討と併せ、各党間で引き続き協議する。
一、東日本大震災復興基本法第8条に規定する復興債の償還財源の具体的内容や償還ルールなど、あらかじめ決めることとされているその償還の道筋については、第3次補正予算の編成までに、各党で検討を進める。
一、11年度第1次補正予算における財源措置として活用した年金臨時財源については、第3次補正予算の編成の際に、復興債で補填することとし、そのための財源確保策と併せて、各党で検討する。
一、以上を踏まえて、特例公債を発行可能とするための法案について速やかに成立させることとする。
以上、確認する。平成23年8月9日
子どもに対する手当の制度のあり方について1. 実施時期
手当のあり方の見直しは、平成23年度10月(平成24年2月支給分)から実施する(所得制限の導入は被災地の状況を見定め平成24年度(6月分)から実施する。)。
2.所要額 2.2~2.3兆円程度
3.具体的な支給額
(1)一般世帯(非所得制限世帯)
0~3歳(一律) 15,000円
(児童手当1万円)3~12歳 (第1子、第2子) 10,000円
(児童手当5千円)(第3子以降) 15,000円
(児童手当1万円)中学生(一律) 10,000円
(児童手当なし)(2) 所得制限世帯
所得制限世帯における所得税及び住民税の扶養控除(所得控除)の廃止による減収に対する必要な税制上、財政上の措置を検討し、平成24年度から所要の措置を講じるものとする。
4.所得制限
所得制限の基準を、年収960万円程度(夫婦と児童二人世帯)とする。
5.税制改正
所得制限世帯も含めた扶養控除のあり方について、平成24年度税制改正までに総合的に検討する。
6.法制上の措置
平成24年度以降の子どものための現金給付については、上記の支給額等を基にして、児童手当法に所要の改正を行うことを基本とする。その際、地方等と十分に協議を行い、その理解を得るよう努めるものとする。
※地方との協議は、「国と地方の協議の場」において行う。
7.平成24年度からの恒久的な現金給付の仕組みへの円滑な移行のための措置については、別添のとおりとする。
以上、確認する。平成23年8月4日