井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党では、ピロリ菌検査に公費助成を行い、胃がんを撲滅する取り組みを進めています。
茨城県では、昭和37年に茨城県対ガン協会による胃がん検診が開始され、昭和58年には、40歳以上の住民を対象に老人保健法による胃がん検診事業が始まりました。
この胃がん検診は、胃部エックス線検査で行われています。バリウムと発泡剤を飲んで、胃の粘膜の状態を写しだし、レントゲン撮影することで、病変があるかどうかを見る検査です。この検査により胃がんをはじめ、胃潰瘍や胃炎などの胃の疾患を見つけることができます。
しかし、このレントゲン検査は、受診者の苦痛を伴い検査自体も面倒だとの思いや、ほとんどの市町村が集団検診方式で行っているためプライバシーが保てないなどの批判もあり、検診率が1割程度と低迷しています。
近年、胃がんの原因の一つとしてピロリ菌の存在がクローズアップされています。日本人のピロリ菌感染率は世界的には中間レベルですが、先進国の中ではきわだって高率です。世代別では、上下水道などの衛生環境が十分に整っていない時代に生まれ育った人ほど感染率が高く、50代以上は80%程度なのに対し、10~20代では20%以下と著しく低くなっています。
日本人全体の感染率は、2030年頃までにはほかの先進国並みに低くなることが予想されます。
現在は、がん死亡率のトップは胃がんから肺がんになりましたが、胃がんは相変わらず日本人が一番多くかかるがんです。かかる割合も死亡率も若年層では、ピロリ菌の感染率が低くなの比例して、減っているものの、逆に高齢者では増え続けています。特に、人口の多い団塊世代のピロリ菌感染率は80%以上。そのため今後20年間は、胃がん患者はますます増えると予想されます。
こうした状況を把握した上で、40歳以上の方に集中的にピロリ菌検査を実施、保菌者の徹底的な除菌を行うべきと考えています。
具体的には、市町村が行っている特定健診(いわゆるメタボ健診)時に、血液検査でピロリ菌の検査を行います。特定健診は、6割程度の受診率がありますので、その受診者の8割程度がピロリ菌検査を行っていただければ、40歳以上の住民の5割程度が胃がんに対する有効な対応策を講じることが出来ます。
市町村がピロリ菌検査に公費助成を行い、保菌者に除菌を行う医療機関の体制を整えることが喫緊の課題です。
ピロリ菌検査には、高崎市などで導入されているABC検査方式が優れていると考えますが、医療関係者との綿密な検討の場の設置が必要です。
当然、市町村にとってはピロリ菌検査の補助に負担が発生します。しかし、胃がんの関わる医療費は国保ベースで一ヶ月で2億円近く(入院1億4062万円、外来5379万円:茨城県の国民健康保険における胃がんの医療費:2011年5月診療分)かかっていることを考慮すれば、ピロリ菌検査と除菌を行うことは、圧倒的に効率的だといえます。