民主党政権の弱体化は目余るものがあります。特に、定見無き、弱腰の外交政策は、領土をめぐる問題として顕在化しています。
韓国やロシアの最高指導者が日本領土に足を踏み入れたり、中国や台湾関係の漁船や活動家による領海侵犯、上陸騒ぎが頻発しています。
竹島や尖閣諸島、北方領土は、日本の固有の領土です。領土に関しては一歩も引かぬ姿勢と、未来を見据えた戦略的外交を展開する必要性があります。
まず、竹島については、1950年代前半、李承晩大統領の時代に、韓国が強引に自国領土として組み入れてしまった経緯があります。いわゆる李承晩ラインという境界線を一方的に設定しました。
これに対して、日本は1954年と1962年の2度にわたって、竹島の領有権問題について、国際司法裁判所(ICJ)への付託を提起しましたが、いずれも韓国は拒否してきました。今回も日本政府がICJへの提訴を提案していますが、韓国側は拒否する姿勢を示しています。
日本はこうした事態に対して、毅然とした態度を示さなくてはなりません。
一方、尖閣諸島は、日本が現在まで実効支配を続けてきており、日本側は一貫して、日中両国間には領土問題は存在しないとの見解をとっています。しかし、70年代から中国は、尖閣諸島周辺水域の埋蔵資源に目を付け、領有権を主張するという強引な姿勢を示しています。
かつて中国の最高指導者であった鄧小平氏が、尖閣問題の“棚上げ”を提唱したことを受け、中国は領有権の主張を自粛してきた経緯もありますが、ここへきて対日強硬姿勢を強めてきています。
そのきっかけとして、東京都による尖閣諸島買い取り構想や、それに対する民主党政権の後手に回った対応などが挙げられますが、より根本的には“事なかれ主義”で、明確な対応をしてこなかった日本の歴代政権に責任があると言わざるを得ません。
中国の態度に対して、尖閣諸島の実効支配をより強化することや、領有権をめぐる問題に、一元的に対処する機関を政府内に設置することが必要です。海域保全にあたる海上保安庁の人材や装備の強化・充実はもとより、尖閣諸島に灯台や避難港を設置することも、検討すべき段階にきていると思います。海上自衛隊との密接な連携も必要ですが、尖閣諸島の問題は日本の国内問題なのですから、警察権=海上保安庁の対応能力の強化が絶対必要です。
漁船、活動家の島への接近や上陸に対して、はじめに強制送還ありきではなく、個々のケースによっては適切な警察権の行使による裁判に持ち込むなど、厳しい対応も辞さぬ態度が必要です。
国際世論へ着実な働き掛けも不可欠
こうしたハード面での対応とともに、ソフト面での対応も必要です。民主党内には、日韓両国と親密な人間関係をつないできた人材が少なすぎます。従来から日韓間で豊富な人的つながりを築いてきた国会議員をはじめ、文化・芸術、経済などさまざまな分野の人的関係をも生かす必要があります。
さらに、日本は冷静に対応しつつ、国際世論や中国・韓国内の良識ある人々への着実な働きかけを進めていくべきです。
先日の公明党時局講演会で、公明党国際局次長の岡本三成氏(次期衆院選比例区予定候補者)が、日本外交の弱点を指摘していました。結びに、その講演の内容を動画で紹介します。