現在も東日本大震災の余震が続き、巨大地震の発生などが懸念される中、国民の命と財産を守る防災対策は“待ったなし”の状況です。
そこで公明党は、防災・減災の観点から、社会資本(インフラ)の老朽化対策や電気・ガス・上下水道・通信網をまとめる共同溝化などに、10年間で100兆円を計画的に投資する「防災・減災ニューディール」政策を打ち出しました。これによって新たな雇用を生み出し、経済再生につなげる狙いもあります。
防災・減災ニューディール政策を具体化するため8月28日、公明党は「防災・減災体制再構築推進基本法案」を国会に提出しました。この法案は、インフラを再整備するハード対策と、地域防災力の向上を図るソフト対策の両面を進めるものです。特にインフラの再整備については、損傷が小さいうちに直す「予防保全型」で費用の抑制を図るのがポイントです。
老朽化の実態を把握する「防災・減災総点検」を基に基本計画を定め、施策に優先順位を付けた上で10年間で集中的に実施していきます。
東日本大震災では、国や自治体が地震・津波対策を講じてきたにもかかわらず、甚大な被害が発生。効果の薄い無駄な公共事業も数多く指摘された。いつ起こるか分からない首都直下地震や東海・東南海・南海の3連動地震(南海トラフ巨大地震)などに備え、国民の生命と財産を守るニューディール政策、すなわち防災・減災に向けた「体制再構築」は待ったなしです。
法案の特長は、国が一方的に社会資本の整備計画を策定するのではなく、全国の道路や橋、学校、医療施設などを対象に、一斉に「防災・減災総点検」を実施する仕組みを設けたことです。総点検を行った地域の実情を十分に踏まえ、老朽化した道路や橋などの再整備に優先順位を付ける試みは、今回が初めてです。
しかも、地域防災力の向上に向けた施策の実施には、女性や高齢者、子ども、障がい者など、住民の視点を重視する。このほか、学校教育における防災教育の充実や有形の文化財などへの配慮、大規模災害時に一元的に災害対応を行う「危機管理庁」の設置も盛り込んでいます。
具体的には、この総点検を受け、国が基本計画を策定し、10年間で必要性の高い施策から優先的に集中投資を行います。これによって、新たな雇用や幅広い経済効果が生み出されることへの期待も大きくなっています。
財源については、建設国債や地方債の発行のほか、償還のために必要な財源を確保した上で新たな公債(防災・減災ニューディール債=仮称)の発行や、民間資金の活用で確保することにします。
一方、わが国の社会資本は、高度経済成長期に集中的に整備され、建設からすでに30~50年が経過しています。日々、疲労・劣化する社会資本の割合は今後さらに加速することが予測されています。国も地方自治体も財政状況が厳しい中で、社会資本の老朽化をこのまま放置すれば、今後の維持管理費用の増大は計り知れません。
だからこそ、従来の「対症療法型」の維持管理から、将来の損傷や劣化を予測した「予防保全型」への転換によるコスト縮減が不可欠なのです。