1月9日、橋本昌茨城県知事は、国の予算編成に関し、関係大臣への要望を行いました。井手よしひろ県議ら公明党県議団も、知事に同行し、公明党の太田昭宏国交相と山口那津男公明党代表を訪ね、茨城県の要望書を手渡しました。
この日、橋本知事が訪れたのは麻生太郎財務相、太田昭宏国交相、田村憲久厚労働相、根本匠復興相、菅原一秀経産副大臣の5閣僚。「茨城県では、東日本大震災や原発事故の影響が今なお強く残っており、世界景気の低迷など厳しい経済情勢もあり、県民生活や企業活動は、大変困難な状況が続いている」具体的な数字を示しなながら、茨城県の現状を説明しました。その上で、「震災からの本格的な復興や原発事故による風評被害を打破するためには、さらなる国の支援が必要な状況にある」と指摘し、「政府においては、平成24年度大型補正予算及び平成25年度予算の速やかな編成等を通じ、切れ目のない万全の措置を講じることと、茨城県がこの未曾有の危機を乗り越え、県民の安全・安心な生活を一刻も早く取り戻すことができるよう、特別なご配慮をお願いしたい」と訴えました。
各省庁への具体的な要望は以下の通りです。
- 雇用対策の推進について(厚生労働省)
震災や原発事故の影響が強く残る中、本県の有効求人倍率は3カ月連続で低下し、製造業の新規求人数も対前年比で6カ月連続減少するなど、雇用情勢が急速に悪化していることから、被災求職者等の雇用機会を創出し、雇用の安定を図るため「緊急雇用創出事業」を継続するとともに交付金を増額すること。 - 地域医療再生基金の積み増し等について(厚生労働省)
本県においては、医師数が全国で下から2番目となっており、医療提供体制の整備が県政の最重要課題となっております。加えて、大震災や原発事故の影響により、医師の県外流出や就業辞退が数多く見られることから、強力な医師確保対策を講じることができるよう地域医療再生基金の積み増しを行うこと。
また、現行の第1次及び第2次地域医療再生計画の計画期間を東北3県に対する追加支援と同様に平成27年度まで延長すること。 - 企業立地への支援について(経済産業省・復興庁)
新しく創設されようとしている津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助については、東北3県に限定することなく、甚大な津波被害を受けた本県についても対象とすること。 - 社会資本の整備について(国土交通省・復興庁)
圏央道や東関道あるいは茨城港などについては、今後予想される首都直下地震など大災害の際に、大きな役割を果たすことが期待されるとともに、早期に経済効果の発現が期待できることから、早期にその整備・促進を図ること。
また、社会資本整備総合交付金(復興)について、必要十分な予算額を確保するとともに、その地方負担については、引き続き特別交付税により全額を措置すること。 - 地方財政措置について(総務省)
地方公共団体が安定的な行政サービスを提供するとともに、円滑な事業実施を図ることができるよう、一般財源総額と地方交付税総額の確保、地方負担に対する新たな交付金の創設など、地方財政措置を充実すること。 - 中小企業等グループの施設復旧・整備への支援について(経産省)
中小企業等グループ補助金については、甚大な被害を受けた中小企業者の施設・設備の復旧・復興に大きな効果を発揮しておりますが、いまなお地域においては極めて多くの需要があることから、現在公募中の案件が十分に採択できるよう本県への追加配分を行うこと。 - エネルギー政策について(経産省)
エネルギー政策基本法を改正し、「安全の確保」がすべてに優先することを明記すること。
また、再生可能エネルギーの普及拡大を図るため、技術開発などについて法制上、財政上、税制上その他の支援措置を集中的に講じること。
さらに、国のエネルギー政策における原子力発電の位置付けを早急に明確にし、国民に分かり易く説明すること。 - 東海第二発電所について(経産省)
東海第二発電所については、安全面からの検討を進めるとともに、UPZ圏内に約94万人が居住していること、運転開始から34年が経過していること、首都東京に極めて近いこと、27万筆を超える反対署名が提出されていることなど、その置かれている状況や地元自治体及び地域住民の意見を十分に踏まえた上で、その取扱いについて国の考え方を早急に示すこと。 - 高レベル放射性廃棄物の処理処分について(経産省)
東海再処理施設に貯蔵されている高レベル放射性液体廃棄物については、速やかにガラス固化体に加工すること。
また、同施設におけるガラス固化体の保管能力は限られていることから、早期に高レベル放射性廃棄物最終処分場を決定するなど、最終処分の取組を促進すること。 - 国の緊急経済対策(平成24年度補正予算)における公共事業に係る地方財源の確保について(国交省)
国の緊急経済対策(平成24年度補正予算)における地方公共団体の実施する公共事業に係る地方負担については、地方が厳しい財政状況下にあることや本年度予算において既に使える財源は予算化している状況を踏まえ、国による新たな交付金や交付税措置を講じること。
また、国の実施する直轄事業に係る直轄事業負担金についても、同様の措置を講じること。 - 風評被害対策について(国交省)
原発事故の影響により、国内外からの観光客等が大幅に減少しているほか、農林水産物の出荷制限も依然として続くなど、非常に深刻な状態が生じている。国においては、観光業や農林水産業などに対する風評被害の解消など原発事故による影響の払拭に積極的に取り組むとともに、地方の取り組みに対する十分な財政支援を行うこと。
また、放射線量等に関する正確な情報を国内外へ発信するとともに、風評被害の大きい東北三県及び本県への観光促進キャンペーンや国際会議の誘致などの誘客対策等に強力に取り組むこと。 - 東京医科大学茨城医療センターの保険医療機関の早期再指定について(厚労省)
東京医科大学茨城医療センターについて、できるだけ早い時期に保険医療機関の再指定をされること。
なお、再指定にあたっては、政策医療や地域において代替のきかない医療の提供並びに医師確保の観点から、必要な病床数と診療科の標榜を認めること。
これに対して、各閣僚からは、次のような答えがありました。
【麻生財務大臣】
- 震災の要望については十分に理解した。
- 茨城の被災状況、特に2度の大きな地震があったこととは、未だ知らない人も多いと思うので、さらに周知していく必要がある。
【太田国土交通大臣】
- 茨城の被災状況は十分わかっている。今後も応援していきたい。
【田村厚生労働大臣】
- 被災3県といわれているが、茨城も観光をはじめ大きな被害を受けていることは、十分理解した。
- 緊急雇用創出事業臨時特例交付金については、積み増しを行う予定である。
- 医療再生計画については、25年度中に事業に着手すれば繰越は認める。
【根本復興大臣】
- 今回の知事の要望により、茨城県における震災、原発事故による被害の大きさを改めて認識できた。
- 今後は、現場主義で進めていく方針であり、地域によっても課題が異なるので、今回のような地元からの要望をしっかりと受け止めて施策に反映させていきたい。
【菅原経済産業副大臣】
- 今回の知事の要望により、茨城県の被害の大きさを改めて認識できた。これまで、東北3県が被災地域として先行してきたが、今回の要望を鑑みると被災4県であり、東日本全体が被害を受けたということを理解すべきである。
- これを踏まえ、津波・原子力被害被災地域雇用創出企業立地補助については、東北3県のみならず茨城県も対象とするよう取組を進めていく。
- 中小企業等グループ補助金については予備費で対応できる。知事さんのご要望を承りたい。