10月1日、茨城県が運営するインターネットテレビ「いばキラTV」が開局1周年を迎えました。
記念特番には橋本知事が出演。「茨城を知り、自慢してもらいたいと思って始めました」とあいさつしました。茨城がブランド力調査で下位にいるものの、農工業が盛んなことなどを紹介し、「視聴者がもっと多くなるよう、精いっぱい頑張ります」と述べました。
「いばキラTV」は、平日約2時間のライブ番組を放送し、旅やグルメ情報などいつでも見られるオンデマンド番組にも力を入れています。大洗を舞台にしたアニメ“ガールズ&パンツァー”などスマッシュヒットもありましたが、その認知度は苦戦を強いられています。
今年4月以降、制作会社の変更や番組改編も積極的に行い、1日あたりの平均視聴者数は約3400人(2012年度の平均)から、約4500人(9月22日現在の平均)にアップしました。9月だけでは約6800人に増えています。
橋本知事は「まだまだ認知度不足。番組を充実させ、放送エリアが限られないインターネットのメリットも生かして宣伝していきたい」と話しています。
この「いばキラTV」は、県庁4階のスタジオから平日(月~金曜)、ライブ番組を配信し、県内のニュースやイベント情報などを紹介。常時見られるオンデマンド番組のラインアップも増え、全国で唯一、県域の民放テレビがない本県で、県内外に魅力を発信するメディアの一翼を担っています。
「いばキラTV」は、パソコンやスマートフォン、タブレット端末で視聴できます。平日は「いばキラニュース」(午前8時15分~8時半)、「いばキラTV Station」(午後0時20分~1時、4時55分~6時の2回)のライブ番組を配信。2月からは「いばキラ★NIGHT」(平日午後9時から30分程度)が始まりました。
オンデマンド番組もタレント、水野ちはるさんがバイクで県内を巡る「いばキラ★ロード」などが人気。ほかに県議会や知事定例会見などを中継しています。
「いばキラTV」の課題と今後の方向性
この「いばキラTV」の課題(問題点)を4点指摘しておきたいと思います。
- 「いばキラTVは、県域テレビにかわるもの」との発想を脱却しなければなりません。「いばキラTV」のようなネット動画とテレビ番組は、全く異質なものです。ネット動画は、最初の30秒で勝負がつくと言われています。ネットユーザは、テレビ番組のように起承転結で、番組を観てくれません。第一印象でおもしろくないコンテンツは観てもらえません。さらに、番組も一般的に長い番組敬遠される傾向があると言われています。こうしたネット動画の作り方がいばキラTVにはできていないような気がします。
- 知事や市町村長、茨城出身の著名人など、茨城の魅了を語れる人をもっと登場させるべきということです。極論ですが、知事が毎朝、県民に対して直接メッセージを発したならば、最低でもアクセス数は数万件にはなるのではないでしょうか。
- 「いばキラTV」は国の“雇用創出等基金による事業”で賄われています。しかし、この事業は総事業費の2分の1以上を人件費としなければならいことや新規の雇用の創出を図らなくてはならないなど、専門性の高いいばキラTVの財源としては、大変使いづらい内容となっています。自由度の高い茨城県の一般財源から、「いばキラTV」の制作予算を一般財源から捻出すべきです。
- 人材の育成や番組制作のノウハウをどのように積み上げていくかも重要課題です。単年度主義の県予算の中では、「いばキラTV」のスタッフの雇用期間は原則1年限りで、委託会社も年度契約となります。県は、10月議会に新たに25人を研修のため、半年間前倒しして採用する予算を補正予算で計上します。併せて、即戦力の取材スタッフ6人を配置する予定です。複数年度契約など、新たな仕組みを検討する必要があります。
「いばキラTV」を充実させることは、いばらきのイメージアップ戦略の中でも最重要な課題です。
私も、このブログでのエンベットなどを積極的に行い、アクセス数の確保に協力していきたいと思います。
この「いばキラTV」の前身にあたるいばらきインターネット放送局は、2001年9月22日により運用を開始しました。茨城県のIT化の旗振り役として、一環して県議会をリードしてきた井手よしひろ県議が当選以来主張し、実現したものです。01年10月議会での井手県議の一般質問を引用します。
インターネット放送局の現状と今後の方向性について
(井手よしひろ県議の一般質問:2001年10月9日)
9月29日に行われました県の原子力防災訓練の模様が、インターネット放送局から県民にリアルタイムで中継され、大きな話題となりました。また、議長並びに議員各位の御理解をいただき、県議会のインターネット中継も、この12月議会から試行される運びとなりました。私は、このインターネット放送局を提案させていただきました一人として、今後の展開に大いに期待をしております。
今般の知事選挙において、その投票率の低さを指摘して、低投票率は橋本県政への不信任であるといった議論をまことしやかにされる方が一部におられます。しかし、これはまことに極論であります。私は、県政の情報が県民に余り提供されていない結果ではないかと思っております。
県政参画への動機づけは、幅広い情報の提供によるところが大きいと考えます。県域のテレビ放送局を持たない茨城県にとっては、インターネット放送局が大いに注目されてくると考えます。
インターネット放送局とは、ホームページからストリーミングという技術で動画を配信するシステムです。現状では、一般の電話回線やISDNでの接続が大多数ですので、画面も小さく鮮明ではありません。しかし、ADSLやFTTHで実現されるブロードバンド・インターネットが普及すれば、普通のテレビ画面程度の配信は十分可能となります。既に、岡山市内では、FTTHの環境のもとで、観光情報や生涯学習番組などをこのインターネット放送局から配信しております。
今後、一気に県内のブロードバンド環境が進展すると想定されます。したがって、その主要なコンテンツとして、県のインターネット放送局は、二、三年という短い期間のうちに重要な地位を占めると考えます。主要な県政ニュースや知事の記者会見、県や関連機関が主催する講演会やシンポジウム、こうしたコンテンツの充実とシステムの充実を切望するものであります。
また、来年開催されるワールドカップや高校総体の中継も、多くの課題があるとは存じますますが、積極的に挑戦していただきたいと提案いたします。
こうした認識を踏まえ、インターネット放送局の現状と今後の方向性について、理事兼政策審議監にお伺いいたします。