6月9日、茨城県議会一般質問が行われ、認知症の対策について質疑が行われました。
テレビ、新聞等マスコミでは、徘徊等による行方不明者が増加していることが問題視されています。昨年1年間で警察に届け出のあった認知症患者が1万人を超えています。行方不明になった後、消息がつかめない事態も相次いでいます。茨城県として国や市町村と連携して、総合的な対策をしっかりと立つなければなりません。
2012年から13年に届け出があった認知症の行方不明者のうち、未発見者が今年4月末で258人に上っており、警察庁が市町村との情報交換等を通じて、行方不明者の早期発見に努めるよう、全国の警察本部に捜索の強化を指示しました。
プライバシーの問題に配慮することは当然ですが、早期発見のため行方不明者の情報をインターネットに公開することや、認知症患者の家族や施設に対して、日常的な心得等を盛り込んだマニュアル提供など、行政が総合的に取り組む必要性があります。
特に、県の立場としては、市町村を越えた広域的なネットワークを早期に確立する必要があります。福祉分野と警察分野の両面から対応が不可欠であり、茨城県議会公明党としては、保健福祉委員会、文教警察委員会の両委員会で対応策強化を求めていきます。
認知症患者や家族への声かけや見守り等を担うのが「認知症サポーター」です。現在、茨城県内では8400人のサポーターが活躍していますが、質量とも拡大することが望まれています。
サポーターとして任用するためには、超高齢社会の到来や認知症の症状、症状を緩和するための支援法、本人や家族への接し方等の講習を受ける必要があります。
茨城県は、金融機関や小売業と連携して、約8000人のサポーターを早急に増員したいと考えています。
昨年12月、県は常陽銀行・筑波銀行、県信用組合の三つの金融機関と「認知症普及啓発事業連携事業協定」を結びました。今後、3金融機関は、県から講師派遣を受け、職員や地域住民らを対象に偏見を持たず温かく実認知症サポーター養成講座を開く計画です。認知症患者が様々な詐欺被害を受けている実態があります。こうした現状の中で、送金等の窓口にある金融機関が、サポーター養成を積極的に行うことは意義があります。三つの金融機関を合わせると県内には375の店舗があります。常陽銀行だけでも、行員・パートを合わせて5700人の全員の研修を計画しています。
一方、県内小売大手のカスミと県も、協定を締結しました。3月にはカスミ筑波センターで、店長ら200人を対象とする認知症サポーター養成講座を開かれました。講習では、認知症患者が来店した場合を想定した寸劇を交え、適切な対応を学び合いました。
他県の事例を見てみると、神奈川県ではネットを介していわゆるeラーニングの手法を導入し、サポーターの要請を行っています。神奈川県は、昨年(2013年)暮れから、横浜市にある公益社団法人かながわ福祉サービス振興会に管理、運用を委託して、オンライン学習システムを導入しました。現在までに30人がサポーター資格を取得し、56人が登録をして勉強しています。
こうした事例を参考に、井手県議ら公明党茨城県本部では、党員会などで認知症サポーター研修を実施する等、地域での認知症患者を支援する基盤づくりを進めていく方針です。