厚生労働省は、来年度、安倍政権が重要課題として掲げる「地方創生」を目指して、都道府県向けの新たな雇用創出の交付金(地域しごと創生プラン)を創設することになりました。人口減少が深刻な地域に雇用をつくり、人を呼び込むことで、地域経済の活性化を図るのが狙いです。
交付金総額は234億円で、2015年度概算要求に計上されています。
リーマンショックを受けて、国は2008年度に緊急雇用対策の基金事業を立ち上げました。都道府県が国からの交付金を基金化して運用する仕組みで、2011年以降は東日本大震災による失業対策にも対応させていました。毎年、補正予算で基金を積み増しし、今年度まで期間を延長しています。
国では経済状況も好転していることも踏まえ、新たな交付金の創設に伴って、被災県を除いて、緊急雇用の基金事業は廃止します。被災県向けの緊急雇用対策基金の13年度補正予算での積み増し額は1200億円で、実施期間は2015年度末までとなっています。
従来の雇用対策の基金事業は、基本的に雇用情勢が厳しい地域を対象としていましたが、新たな交付金では人口減少問題を抱える地域にも対象を広げます。労働人口が少ないため統計上の雇用の数値は悪くないものの、人口減少が著しい離島や中山間地のような地域にも対応できるようにします。
また、新たな交付金では、 都道府県による基金化は認めない方針です。国が事業ごとに判断して交付決定する方向で検討されていますが、「地方創生」を掲げる交付金に地方の裁量幅が狭いという皮肉な結果になっています。
茨城県では、茨城空港と東京都心を結ぶリムジンバスの運行やインターネットテレビいばキラTVの運営などにも、緊急雇用対策基金は活用され、雇用の確保ととも県の重要な施策を下支えしています。こうした事業の財源をどのように確保するのか、人口減少に具体的にどのような政策を採用するのか、地方の知恵が試されています。
地方自治体が地域の実情に合わせて実施する、若者はじめ無業者を雇い入れての育成や、企業向けセミナー等の職場改善支援による地域からの人材流出防止や定着支援などの取組みを、都道府県に交付金を交付して支援する。