茨城県警察本部は、自動車の盗難の件数が全国最悪となっている問題を受けて、「ヤード」と呼ばれる解体施設に警察が立ち入って検査できる権限などを盛り込んだ新たな「ヤード条例」を制定することになり、12月県議会に向けてパブリックコメントなどの準備を行っています。
県警によると、茨城県内で人口10万人あたりの自動車の盗難の発生率は、去年まで9年連続で全国最悪となっています。ことしも9月末までの被害の件数は1264件と、全国最悪です。ヤードはその全てが違法状態ではありませんが、県内に約230カ所確認されています。
県警は、「ヤード」と呼ばれる解体施設の一部が悪用され、盗難車が保管されたり、解体されたりするなど、犯罪に使われるケースが多いとして、施設への規制を強化するための条例案をまとめました。
条例案では、「ヤード」を設置する際に届け出を出すことを求めるほか、土地の所有者に対して、盗難車の解体に使われることを知った上で土地を売り渡すことを禁止しています。また、茨城県内の「ヤード」に警察が直接、立ち入って検査する権限も盛り込まれていて、違反者に対しては罰則の規定も盛り込まれています。他県の事例では、違反に対しまず行政処分を行うことが必要ですが、茨城県では全国で初めて直接罰する規定を設ける方針です。
罰則は、◎ヤード内において自動車を解体しようとする者の届出義務違反、◎自動車を引き取る際の相手方の確認等の義務違反、◎相手方の確認等の際に提示を受けた書類の写しの保存義務違反などの場合、3月以下の懲役又は30万円以下の罰金を科すとしています。
県警察本部は条例の制定によって増加する自動車の盗難に歯止めをかけたい考えで、今後、県民からの意見(パブリックコメント)を募った上で、早ければ12月の定例県議会に条例案を提案する方針です。
都道府県単位で「ヤード」を規制する条例が制定されると、千葉県に続いて全国で2番目になります。年間の自動車盗難発生数は、平成24年には1857件で全国ワースト5でしたが、平成27年には2107件とワースト2位となり増加しています。一方、ヤード条例を制定した千葉県は、平成25年の3295件(全国ワースト1位)から平成27年は1277件(ワースト4位)と大幅に減少しています。