少子高齢化が進む日本社会にあって、今必要なのは、未来への投資です。その意味では、家庭の経済状況にかかわらず、全ての子どもたちが安心して学べる環境づくりを一段と加速させことが重要です。
東京都は、実質無償となっている都立高校授業料との公私立間格差を是正するため、2017年度から私立高校の授業料を実質無償化することを決めました。世帯年収で760万円未満を目安に都の助成金を増額し、国の就学支援金と合わせて都内の私立高校の平均授業料分を補助します。
都議会公明党が提案していた年収910万円未満には届かなかったものの、大きな前進です。
さらに、私立高校向けの入学支度金の貸付額は都議会公明党の主張通り、現在の20万円から、都内の平均入学金と同じ25万円に引き上げます。
東京都は都立高校の志望倍率が1.4倍程度(普通科)で、他の道府県に比べ私立高校に通う生徒の割合が高く、保護者が高収入でなくても私立高校に通わせている家庭も少なくありません。経済的な理由で高校進学を断念するケースもあります。今回の拡充は教育費負担に悩む多くの家庭にとって希望となるに違いありません。
私立高校授業料の実質無償化は大阪府や埼玉県などで導入されていますが、東京都での実施を弾みに、さらに全国へと広がって行くことが期待できます。
学生への支援強化も忘れてはなりません。
公明党の念願が実り、2017年度から返済不要の給付型奨学金が創設される。対象者は限定されるが、“小さく生んで大きく育てる”発想で、着実に拡充していきたいと思います。
教育に対する経済的な支援が、なぜ重要なのか。それは、家庭の経済状況が教育格差を次世代にまで引き継ぐ貧困の連鎖を断ち、未来への投資につながるからです。
国立教育政策研究所の試算によれば、奨学金など大学・大学院在学期間中の公的投資額は一人当たり約250万円ですが、卒業者が納める所得税など公財政への貢献は約600万円に上ります。投資効果は約2.4倍となります。本人の所得増だけでなく、将来の国の財政を支える結果にもなるのです。
20日に開幕した通常国会では、未来への投資を前進させる2017年度予算案の審議が前半最大の焦点です。国民本位の論戦で早期成立を期しもらいたいと思います。
返済不要の給付型奨学金がついに実現
2017年度予算には返済不要の給付型奨学金の予算が、約2800人の枠で、本格実施となる18年度からは約2万人規模で計上されます。住民税非課税世帯から大学や専門学校などへの進学者のうち、高校など学校の推薦を受けた人に、毎月2万~4万円が給付されます。公明党の提案で、児童養護施設出身者などには入学時に24万円が追加給付されます。
さらに17年度からは、無利子奨学金の貸与人数が拡大します。住民税非課税世帯を対象に成績要件が実質的に撤廃され、要件を満たしていても予算の関係で借りられない「残存適格者」も解消されます。大学授業料減免の枠も国立で2000人分、私立で1万人分広がります。一方、卒業後の所得に応じて奨学金の返還額を変える新たな「所得連動返還型奨学金」も17年度から導入されます。
今回、進学を後押しする制度が大きく拡充できました。今後も「給付型」を大きく育てるとともに、新たな「所得連動返還型」の対象拡大、奨学金を巡る相談事業の充実などをめざします。
進学時の奨学金の相談窓口を開設
返済不要の「給付型」の一部先行実施など2017年度から奨学金制度が大きく充実することを受け、事業を実施する日本学生支援機構は、昨年12月28日、電話相談窓口(電03-6743-6719)を開設し、学生や保護者らからの問い合わせに対応しています。
相談時間は平日の午前9時から午後6時まで。4月28日まで開設されています。来年度に一部先行して実施される給付型奨学金のほか、「無利子奨学金」における低所得世帯の学生の成績要件撤廃、卒業後の所得に応じて返還額を変えられる新たな「所得連動返還型奨学金」についての相談も受け付けています。また同機構のホームページでも制度の概要を掲載する予定です。
奨学金に関する相談対応について、公明党は、「給付型」創設など奨学金制度の拡充とともに、学生や保護者らに寄り添った相談体制の整備を主張。国会質問や政府への申し入れなどで訴えてきた。