9月25日、安倍晋三首相は、2019年10月の消費税率10%への引き上げに伴う増収分を教育費負担の軽減など、「人づくり革命」に向けた「全世代型」社会保障への転換に使う方針を表明しました。
特に、教育支援の大幅充実を柱とする2兆円規模の政策を年内に策定したことは、少子高齢化社会、人口減少社会への対応として、この決断を高く評価します。公明党が訴え続けた結果、首相は教育費の負担軽減にかじを切り、返済不要の給付型奨学金の創設や、今回の方針表明につながりました。
また、政策の財源として、消費税増収分の一部を活用するとしたことも重要です。
2012年の民主、自民、公明の3党合意に基づく社会保障と税の一体改革では、消費税率8%から10%への引き上げに伴う増収分の使い道について、多くを国の借金の返済に充てた上で、①年金②介護③医療④子育て――の社会保障4経費に活用していくことが決められました。
今回の方針は「子育て」に当たる教育費の負担軽減などに使う金額を増やすものです。増収分を社会保障4経費と国の借金返済に充てる枠組みは変えませんが、金額の配分を見直します。子育てを含む社会保障の機能強化への配分増を訴えてきた公明党の主張と合致するものです。
首相は今回の方針について、国民の信を問おうと衆院を解散します。衆院選で公明党が勝利することで、教育費の負担軽減などを具体的に進めらて行きたいと思います。
公明党は、①軽減税率の実現②教育費負担の軽減③高齢者支援の充実の三つの政策・実績を訴えています。
安倍首相は方針表明で軽減税率に触れませんでしたが、公明党が政党で唯一訴え、消費税率10%への引き上げ時の導入が既に決まっています。円滑実施への取り組みをしっかりと進めます。
教育費負担の軽減に関しては、首相から幼児教育の無償化や、大学などへの進学支援の充実を進める方針が示されました。公明党が提案する「0~5歳児の幼児教育無償化」や「給付型奨学金の拡充」などと軌を一にするものです。
公明党独自の政策としては、年収590万円未満の世帯を対象にした私立高校授業料の実質無償化について、2019年までの実現をめざします。
高齢者支援の充実へ、公明党は消費税率10%時に予定されている「低年金者への加算」と「介護保険料の軽減拡大」の前倒し実施を掲げています。消費税の使い道を変えるのであれば、もともと国民に約束しているこれらの施策は優先して実施するよう訴えていきます。
財政健全化を危ぶむ声もありますが、教育支援の充実により一人一人の能力が高まれば、生産性が向上し、中長期的な経済成長、税収増につながります。短期的には、2020年度までに基礎的財政収支を黒字化する目標の達成は困難になりますが、財政健全化の旗は降ろさず、社会保障の重点化など不断の努力を続けてまいります。