つくばの知の集積を最大限に活用していくことで、日本の経済成長・発展に貢献することを目的に「つくば総合戦略国際特区」プロジェクトが進んでいます。日本は急速な少子高齢化、エネルギー政策など深刻な問題に直面しています。その解決のカギを握るのが科学技術。こうした課題の解決の糸口となるよう、茨城県は総合特区制度の活用により、つくばを絶え間なくイノベーションを生み出す新しい産学官連携拠点へと整備を進めています。現在、つくば国際特区では8つの具体的プロジェクトが行われています。
2月8日、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党議員会は、産業技術総合研究所と民間企業・株式会社リーテルが進める「戦略的都市鉱山リサイクルシステムの開発実用化」の現場を調査しました。
小型家電をはじめ、都市鉱山(使用済家電製品等に含まれる有用な金属を鉱石に見立てて「鉱山」と称したもの)の多くが、未開発あるいは埋立処分されているのが現状です。そこで、このプロジェクトでは、革新的リサイクル技術の開発と住民への普及啓発や環境教育などを一体的に進めることにより、希少金属資源の安定確保、リサイクル関連産業の発展を促し、循環型社会の実現を世界に先駆けて目指しています。
産総研の研究成果をもとに、廃家電からレアメタルなどの有用金属を経済的・効率的に取り出すための新技術として、①従来の手作業に代えて、廃家電等の解体や基板等の選別作業を自動で行う機器・システムの開発、②有用な金属などをリサイクルしやすいように単一素材にまで選別するシステムの開発などが、水戸市に隣接する茨城町長岡のリーテル水戸工場で行われています。
8日の現地調査では、リーテルの浦出陽子サスティナブリティ・ソリューション部長、山崎敏一水戸事業部副部長などから説明を聴取し、小型家電の分解・解体、選別などのプロセスを実際に視察しました。
リーテルでは、水戸市や日立市、つくば市などの自治体と協力して、市民から集められた携帯電話、スマホなどの小型家電からレアメタルなどの有用な資源にリサイクルし、JX金属など様々な精錬所、メーカーなどに供給しています。その過程の自動化や効率化に向けて、産総研の研究が実証実験されています。
視察後の意見交換では、井手県議は「より効率的なシステムを開発し、自治体の小型家電のリサイクル率を高めていきたい。資源小国の日本にとっては、目立たないかもしれないが、とても重要な取り組みです」と語りました。