水戸市内の段ボール加工会社「アカス紙器」の元社長が、1992~96年にかけて、知的障害者の女性従業員3人を虐待していたとして、損害賠償を求めた裁判で、水戸地裁の仙波英躬裁判長は3月31日、原告側が訴えを認め、元社長に損害賠償の支払いを求める判決を言い渡しましたた。3人の原告は、それぞれ1000万円ずつ、計3000万円の慰謝料を求めていましたが、それぞれ500万円ずつ、計1500万円を支払を求めました。
判決では、元社長が3人に対する性的暴行などの一連の虐待について「原告らの供述を直接的に裏付ける証拠はない」としながらも、「中心的な部分についての(原告の)供述は終始一貫している」などとして、虐待の事実そのものを認めました。
また、元社長は従業員に安全な労働環境を整える義務があるとした上で、暴行で受けた従業員の精神的苦痛を賠償する責任があるとしました。
さらに、知的障害者の原告が元社長の会社以外に雇用先を見つけるのは困難だとして「自己の優位的立場を利用する形で不法行為を行った」と指摘し、元社長に対し3人に500万円ずつ支払うように命じました。
7月21日、一審判決を全面的に認める控訴審の判決が下されました。(水戸アカス事件:元社長に2審も賠償命令)
この事件に関連して、井手よしひろ県議は、1997年3月6日の県議会本会議一般質問で、障害者の権利を守るための具体策を提案しました。
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(1997/3/6県議会本会議一般質問)
井手よしひろ議員の福祉部長への質問
今回の事件は(水戸アカス事件),福祉行政の欠陥につけ込まれた事件であり,その欠陥を放置した行政側の責任も厳しく問われていると認識しております。障害者の権利を守るために,障害者からの訴えがあったならば真剣にその訴えに耳をかし,対応する責任があったのではないでしょうか。
また,障害者の声を積極的に吸い上げる仕組みの整備も必要であると思います。
この提案を受け、県は、97年から障害者の相談窓口「障害者なんでも相談室」を設置しました。知的障害者らからの相談を児童相談所やハローワークなどと連携して解決に当たっています。2003年度の相談件数は600件近くにありました。
障害者のためのなんでも相談
【場所】水戸市千波町(総合福祉会館内)
【日時】月~金曜日午前9時~午後4時30分
【内容】障害者の方の生活全般に関する相談
【問合せ】障害者なんでも相談室(電話029-244-9588)
【その他】相談・無料/予約・不要