岡山電軌「上下分離方式にこだわらず」協議続行を申し入れ
日立電鉄線の存続問題で、「岡山電気軌道」(本社・岡山市)の礒野省吾常務が9月13日、常陸太田市役所を訪れ、日立電鉄の事業継続の協議を続行する意思を伝えました。
これに対して、常陸太田市側は、萩谷暎夫総務部長と江幡治企画財政課長が応対し、「市長と話をして検討し、近日中に返答する」と答えました。
岡山電軌の磯野常務は、「日立電鉄線を存続させる市民フォーラム」(西村ミチ江座長)からの協議続行を求める強い要請に応え、来茨したものですた。
YOMIURI ON LINE(2004/9/14)
【ちん電】岡山電軌、協議再開申し入れ
「上下分離」こだわらず
日立電鉄線の廃止問題で、常陸太田市の後継事業者公募に問い合わせをしながら条件が折り合わず、いったん協議を断念していた「岡山電気軌道」(本社・岡山市)の礒野省吾常務が9月13日、市役所を訪れ、協議再開を申し入れた。常陸太田市側は、萩谷暎夫総務部長と江幡治企画財政課長が応対し、「市長と話をして検討し、近日中に返答する」と答えるにとどまった。同社は14日に日立市や県庁も訪問して関係者と協議する意向で、極めて困難な情勢となっていた電鉄線の存続に再び一筋の光明が差した格好だ。
岡山電軌は、岐阜市、宇都宮市、札幌市などでも地方鉄道の維持と街づくりに助言しているといい、今回の来県は、「日立電鉄線を存続させる市民フォーラム」(西村ミチ江座長)からの協議再開要請に応えた。
市役所で記者会見した礒野常務は、「鉄道運営に必要な具体的な経営指標が示されていない」として、岡山電軌が後継会社として名乗りを挙げるかどうかは「現時点では言えない」と明言を避けたものの、「施設費、修繕費、保守管理費などに自治体が補助金を出すことを請け負えば、運営を引き受けるところもあるだろう」との考えを示した。
その上で、運営引き継ぎの協議に入る前提として、〈1〉運転、車両、電気、土木など鉄道運営に必要な各分野での具体的な経営指標を示す〈2〉日立電鉄、親会社の日立製作所、日立、常陸太田両市、県の各者間で協力体制を整える〈3〉鉄道事業を引き継ぐ運営主体とは別に、存続を願う地元が主体となって親会社を設立する――必要性を指摘した。
運営の「上下分離」については、「列車を運行する会社が線路施設を保有する形でも構わないと思う」と述べ、必ずしもこだわらない姿勢を示した。
礒野常務は、市役所を訪れる前に、大甕―常北太田駅間を乗車した感想として、「乗客の少なさ、設備、沿線の様子などを見ると、存続は確かに難しいと実感した」と話す一方、「電鉄線存続を願う市民団体の純粋な気持ちに答えたい。一緒に残していく方法があれば知恵を出したい」と含みを持たせた。