軽度の要介護者は原則すべて「新予防給付」に移行
今回の介護保険の改革では、要支援や要介護1など介護度が低い人は原則として、介護保険制度の見直しで新たに創設される「新予防給付」を提供することになります。介護予防は軽度者を対象に、身体を動かさなくなる、外出が減るなど生活が不活発になって心身機能が低下する「廃用症候群」(生活不活発病)によって、要介護状態になるのを防ぐのが目的です。
しかし、新予防給付の対象者を選び出すのは現時点では難しいため、新予防給付の対象者は要支援・要介護1のうち新予防給付に向かない人を除く方法としました。脳卒中や認知症(痴呆症)などの人を対象外として、従来の介護サービスを提供することになりました。
新予防給付の除外対象とする疾患など
●脳卒中や心疾患、外傷の急性期などで医療サービスを優先すべき人
●進行性の神経性難病や末期がん患者
●意思疎通の困難さが多少見られる程度の認知症で介護が要る人
●精神疾患で理解が難しい人
こうした新予防給付より除外される疾患などは、市町村の介護認定審査会が判断する際に用いる主治医の意見書の中で診断名を示し、新予防給付の対象になるかどうかや新予防給付の利用によって要介護状態が変わる見通しも明記されることになります。 ●脳卒中や心疾患、外傷の急性期などで医療サービスを優先すべき人
●進行性の神経性難病や末期がん患者
●意思疎通の困難さが多少見られる程度の認知症で介護が要る人
●精神疾患で理解が難しい人
一方、厚労省は介護予防の導入に伴い予防サービスだけを受ける人は「要支援者」とし、さらにサービスの必要の度合いによって「要支援1」と「要支援2」に分けます。この区分を決めるにあたっては、従来の要介護認定の79項目に加え、生活機能の評価項目を10前後加える方針です。
新予防給付に「予防訪問介護」「予防通所介護」「予防通所リハビリ」
新予防給付の導入で、廃止が懸念されていた既存サービスの訪問介護、通所介護、通所リハビリテーションなどは、それぞれ「予防訪問介護」「予防通所介護」「予防通所リハビリテーション」(仮称)として再編されることになりました。
なお、家事支援は「従来のヘルパーに家事をしてもらうのではなく、利用者がヘルパーとともに家事を行い、自立支援の大きなステップとしてもらう」というイメージで、その提供が厳しく制限されます。
新たに設ける介護予防サービスに関しては、現時点では「筋力向上」「栄養改善」「口腔機能向上」の3種類のサービスが導入される見込みです。
この新予防給付のマネジメント体制は、既存のケアマネージャーではなく「地域包括支援センター」が行うこととしています。
新予防給付の制度への移行は、原則平成18年4月からとするが、地域包括支援センターの整備状況によって平成20年3月までの2年間の間で、条例を定め市町村ごとに施行するとしています。
さらに、施行工前に介護保険三施設に入所していた人が、施行日以降に新予防給付の対象者になった場合は、平成21年3月までの3年間は引き続き入所できるとしました。